第36話 高速に乗る用事がない

高速に乗る用事がない。


だから、パーキングへ行けない。


無理に用事をつくる気にはならない。


家事を終え、布団に横になって、スマホを置いて天井を見上げる。


夫は飲みに行っている。


皆と、美味しい生ビールを飲んでいるのだろう。


どうして家で飲むビールと、お店で飲むビールの味はあんなにも異なるのだろう。


お店は家の外で、開放感がビールを美味しくするのだろうか。


外食が、人が作ってくれるご飯が美味しいように。


それなら、毎日、家の中を整えて、ご飯を設えて、着る物を清潔に保って、私達が行なっていることはどういう意味があるのだろう。


こども達がいなくなった今、やらなくていいのではないか。


彼が撮る、車が並ぶ画像。


彼は、私と会った後も、頻繁にインスタに投稿している。


本当に車が好きなんだろう。


軽自動車ではない車が、そういう車が並んでいるのが。


変わった趣味だけれど、もちろん人の事は言えない。


パーキングで眠るのが趣味で、それさえできれば今のままの生活でいいと思っているのに。


彼のように行けばいい。


パーキングの売店で、買ったことのない物を一つずつ買うのはどうだろう。


彼のように投稿はしないけれど、楽しみにはなる。


それとか、曜日毎のパーキングに停まっている車の数を調べたり。


何色の車が多いのか、軽自動車が多いのはいつなのか、気にはなる。


誰にも見られない、なんの価値もないことを黙々と調べてみるのはどうだろう。

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