気ままにいきたいお年頃です!

桃花儘

第1話 放っておいてくれませんか?

「あー、もう!」

 いつも上手くいかないのは何故なのか。

 それはすごく単純な理由だった。


「何故凪季はそんなに一人になりたがるの?まだあなたは十二歳よ?一人で生きられるわけないじゃない!」


 私が最も納得しやすく、最も嫌いな理由を述べる。


「凪季母一人暮らしの大変さを理解していないわ。自分で全てを行うのよ?」


 そんなのわかっている。だって私は「異世界から転生してきたのだから」そう言えたらどれほどいいか。しかし、この世界のルールなのかその言葉を発することは許されなかった。喉元に言葉が詰まって言えないもどかしさを凪季は抱え黙った。


「まぁまぁ、そないな事言わんとさぁ〜?」

「わぁっ!」

 私はそこにいることがわかっていたが、母様の位置からでは見えなかったらしく気の抜けるような父様の声に驚く。

「もう、ビックリさせないで!デルフィニウム!」

 少し怒りを交えた顔で言う。しかし、何事もなかったかのようにおちゃらけたまま父様は会話を続ける。

「あまりにも怒ってはると思ってな〜。様子見に来たねん。」


 怒っていると言うより心配されているのだろう。その気持ちはわかっているつもりだが決意は揺るがない。

「なぁ、ネリネ。少しくらいは許してやったらだめかいな?」

「駄目です!」

「え〜」

思わず私は声を漏らしてしまった。


 そして、次に出た言葉は……

「じゃあ落ち着いてお茶でもしよーや。」

そう言って、クッキーを頬張る父様を尻目にため息を交えつつ

「まぁそうね。」

 と、母様も一気に態度が変わる。どうやらもう私と会話を続けるつもりがないらしい。

「ほな、準備してくるで〜!」

満面に笑みを散らしながら去っていく父様と何かを考えながら去る母様を見送ると、一気に私は気が抜ける。


「はぁ……。」


 思わずため息が漏れ出てしまう。


「今ので30回目かぁ……。」


 そろそろこの流れもそろそろ飽きてきたところだ。何も変わらない無力さに嫌気がさす。


「どうすれば上手くいくのかなぁ……。」

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