Episode.11...The Grim Reaper in the autumn.
「春だけが初期化されるんだ」。達郎はそんなふうに呟いた。由真との過去も、その瞬間だけ初期化された春の中に置き去りにされているような気がした。由真の友人という肩書は、まるで滲むインクのように、輪郭を失いながらも尚、彼の心の中に消え残っている。「一年の記憶が
エリザとの会話は、時に鋭く、時に温かく、二人の間に新たな「リンク」を生み出していく。彼女の微笑みや挑発的な言葉は、達郎に過去のプライドや未練を少しずつ手放させるようだった。自由とは何か、恋とは何か、答えの出ない問いを交わしながら、彼らは不思議な共鳴を深めていく。
三色そぼろ弁当とバゲットサンドイッチ。冷たい秋の風が吹く屋上での小さなやりとり。それは恋や友情の象徴ではなく、ただの昼食の時間でありながら、互いの心が波長を合わせて揺らめく瞬間だった。彼女とのキスもまた、特別ではなく、日常の一部のように淡々としていたが、その淡白さの中に確かな温もりがあった。
過去の由真との関係が達郎の胸に影を落としている。「過去って降り積もるものだから、覗けない」とエリザが言ったその言葉は、達郎の心に優しく響き、彼に新たな視点を与えた。彼女は秋の空に放ったような言葉で、未来を示唆する。そして、由真の「友人」であった自分を超え、新たな自分自身を探す決意が芽生えていく。
「バイバイ、Eliza。多分君はいつまでも君を見つけ出せる」。その言葉に、彼女は微笑む。僕にリンクを求めて、物理的な距離を超えた関係が存在するのだという暗黙の了解が、二人の間に漂っていた。
秋から冬へと移り変わる季節の中で、達郎の心には静かで確かな変化が訪れている。彼の心の振動数と彼女のそれが揃う瞬間、それはまるで宝石のように輝くサインカーブを描き出す。未来を形作るその曲線の美しさに、彼は思わず自分自身が小さく笑っていることに気づく。
彼女が秋空の中に放った最後の言葉が、彼の胸に微かな余韻を残した。それは確かに風の中で消えゆく言葉であったが、何よりも確かな存在感を持っていた。彼は自分の空が少しだけ湿ったように感じながらも、未来へと一歩踏み出す準備が整っていることを感じるのだった。
木の葉の山を蹴っ飛ばす。
「Eliza、多分君らしさは君が歩いたら出来上がる人生の岐路なんだ。君が鳥のように方角を定め飛べばいつだって目的地に着地出来る。
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