銀座で生きた14年ーホステスして、女として一

@mogumogupanda

第1話 コンプレックスを抱えたまま立つ場所



女子大に通う

どこにでもいる女の子だった。



可愛くない。

スタイルもよくない。

自分に自信なんてこれっぽっちもない。

そんな私が14年銀座に居座った話。






外見コンプレックスを持っていた私は

化粧をしなければ外に出られなかった。



つけまつげは三枚重ね、二重テープ、

そしてカラコン。

"普通”に見せるためには、それが必要だった。





周りの友達は学校が終わると

彼氏へのプレゼント代や飲み代を稼ぐ為

歌舞伎町のキャバクラで働いていた。

現代のようにSNSもなく

全く何も知らない異世界の空間。



綺麗なドレスを着て、輝くお化粧をして

とても華やかな髪型をして。

そんな世界は私には眩しすぎた。

一ああ、ああいうのって、選ばれた子たちだけのものなんだ。




派閥?いじめ?マウンティング?

ドラマで見る知識しかなかった。

夜の世界にはむしろ偏見すらあった。






だけど、ある日。

「ねえ、連れて行きたい所があるの」


そう言ってきたのは、仲の良い友達だった。





連れて行かれた先は池袋。

大学生限定、私服のガールズバーだった。



——お酒をつくって、話すだけ。

——制服もいらないし、同世代しかいない。

——怖くない。



友達と一緒なら楽しそう。

私服なら親にもバレないかも。

そんな軽い気持ちで、入店を決めた。




私が働いていた花屋の時給は791円。

提示されたガールズバーの時給は1200円。



 


そんな“遊びの延長”が

私の夜のお仕事

——つまり、水商売の始まりだった。

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