第53話

「え…どういう事なんでしょう」



園長は持っていた羊羹ナイフを置き、静かに話し始めた。



「あなたは本当に素直で、可愛らしくて、一緒懸命で…。良い幼稚園教諭になれると思うわ。」



「ありがとうございます。」



「ただね、私はあなたを、うちの先生として採用する予定では無かったの…」




「え…」




突然の園長の告白に戸惑ってると、園長は話し続けた。



「さっきも伝えたけど、あなたは良い先生になれる。だけど、うちの園は基本は何年間か英才教育の園で経験を積んできた人を採用しててね…。」



「でも、それは求人には書いてなかったかと…」



「うん。そうね。そう書いちゃうと色々な問題があるから…。この幼稚園は有名な幼稚園の中でも国内で1番の幼稚園だと自負してるの。私なりに頑張って努力して、周りの人のサポートも受けて今があるの。だからね、それに答える為には、先生も未熟では無く、最高の先生を揃えるのが、この幼稚園の暗黙のルールなの…」



園長は私に申し訳なさそうに、更に話を続けた。

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