第21話

「梨子は幼稚園教諭希望なんだよな?」



絢斗と付き合って早1年。


お互いの関係にも大分慣れてきた頃、いつもの様に私のアパートの部屋に来て、ソファーで寛ぐ絢斗が突然質問してきた。



「うん。まだ幼稚園の候補が絞れて無いんだけど…。ただ、出来ることなら教育に力を入れてる幼稚園で働いてきたいんだ。」



「ふーん。またなんで教育?」



「うん。教育とは言っても色々あるけど…

考える力を小さい時から育ませてあげたり、その子の持ってる才能を伸ばしてあげたり、自己肯定感を高めて強い心を付けさせてあげたいんだ。そして経験を沢山積んで、いつかは自分の思い描く幼稚園を作って園長になりたいんだ。」



「…よく考えてるな。俺なんか3年になって焦ってたら、スグ就活だったけどな」



「でも、絢斗はすごいよ。それでもあの大手の広告代理店に就職決まったんだもん。」



「まぁ、なんとかな。俺も今年一年で卒業か。社会人になっても梨子は俺と居てくれるのかなー」





絢斗は横に座ってる私の頭をポンポンとして優しい顔で覗き込む。





「何言ってるの?それはこっちのセリフだよ」



「梨子の夢も叶うといいな。」




そう言って笑う私に絢斗は優しくキスをした。

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