魔王を討伐した勇者と魔女、しかし勇者は死に至る呪いに蝕まれていた。
魔女は勇者を救うため、名前と姿を偽り後宮に潜入する…という、とっつきやすい導入から読み進めていくと、緻密に練られた設定や、美しい後宮内の描写、センスのよい固有名詞が次々と目に入ってきて、一気に読んでしまいました。
後宮内で起こる事件を解決するシャロンさん(ミルディナさん)の有能さ、善良さが気持ちよく、殺伐とした女の園を舞台としながらも、ストレスなく読むことができました。
皇帝となった元勇者と対面する場面では「バレちゃう? いやバレてる? バレてなかったー!」とハラハラわくわくしました。
テオドリックさんからの特大矢印に絶妙に気づいていないシャロンさんがもどかしいやら面白いやら。
イケメン皇帝に溺愛される構図なのに、細かい所作や思考、行動のちょっとした癖まで詳細に記憶され執着されてるのが分かってくると「羨ましい」より「に、逃げてー!」という気持ちになるのが不思議です。
正体がバレる瞬間が気になって気になって仕方ありません。続きを楽しみにお待ちしてます!
この作品の強みは「主人公が酷い目にあいながらも必死に立ち続ける姿」にある。
今の流行りでは「酷い目」ばかりが前に出がちだが、本作はそこに終わらず、
立ち上がる姿そのものを物語の核に据えている点が大きい。
序盤から、燃やされた部屋、嫉妬に狂う妃たち、仕組まれた陰謀――
それはただの悲劇ではない。
だが彼女は折れない。
傷つき、倒れそうになっても、必ずそのたびに立ち上がる姿、単なる受難譚ではなく、逆境を生き抜く人間像へと昇華している。
また、繰り返し使われるモチーフ「紅い瞳と白い花」は、
血と純潔、憎悪と希望を象徴し、作品の空気を一層際立たせている。