第2話 アポトキシン4869 別の効果
アポトキシン4869。
かつて工藤新一を江戸川コナンへと変え、灰原哀=宮野志保を少女の姿に戻した謎の薬物。
黒の組織の極秘研究であり、その本来の目的は「完全な毒薬を作ること」だとされてきた。
──しかし、それは“表の目的”にすぎなかったのではないか?
■ 「死を装う毒」ではなく、「再成長を操作する装置」
灰原哀は、アポトキシンの開発を途中で止め、逃亡した。
だが彼女の口からは、いまだに“本当の研究目的”が語られていない。
劇場版第4作『瞳の中の暗殺者』での彼女の一言を思い出してほしい。
「アポトキシン……本来は違う研究だったのよ」
その言葉は、あまりに軽く流されていた。
だが、それこそが全ての鍵だったのではないか?
もしアポトキシンが、「肉体年齢の巻き戻し」だけでなく、「老化の停止」や「時間の固定」までも可能にするものだったとしたら──。
■ ベルモットが老いない理由
次に、ベルモットの存在を考察してみよう。
彼女は長年、“The witch who never ages(年を取らない魔女)“と噂されてきた。
実年齢は不明。だが、20年以上前から姿が変わっていない。
『黒ずくめの組織と真っ向勝負』の回で、彼女が20年前の映像に映っているシーンがそれを裏付けている。
仮にベルモットが、アポトキシンの“初期段階”を摂取していたとしたら──
老化を止める薬として作用している可能性は、十分にある。
そしてその作用は、「赤ちゃん化」とも紙一重なのではないだろうか?
■ 烏丸蓮耶=“封印された赤子”説
烏丸蓮耶。表向きは100年前に死んだ富豪。
だが黒の組織のボス「あの方」であることが明かされた今、最大の謎は「なぜ彼が今も指令を出せるのか?」という点にある。
メールによる指令、「バーボン」「ラム」などの新たな幹部の投入──
その存在はまるで“意識だけが生きているよう”だった。
ではこう考えてはどうだろう。
烏丸蓮耶はアポトキシンを服用し、肉体を赤子の段階まで巻き戻した。
そして、ある場所で“保管”されていた。
灰原哀のセリフ「その人、ずっと眠っていたのよ……」がそれを暗示している。
老いた身体では生きられなかった彼は、幼児退行という形で「再誕」を試みた。
だが、その肉体は未完成のまま眠りにつき、ベルモットが密かに守り続けていた──。
そして、その眠る“赤ちゃんの存在”こそが、万博のノイズの中で鳴いた「猫のような鳴き声」の正体だったとしたら……?
■ 灰原の“もう一つの研究”
コナンと灰原は、常に「解毒薬」について議論を交わしていた。
だが、灰原はある時からコナンにそれを見せようとしなくなった。
──理由は何か。
それは、もう一つの研究を進めていたからではないか?
コナンの未来を救うためではなく、彼女自身の“過去の罪”を清算するために。
つまり、自分の手で作ってしまった「赤ちゃん化した烏丸蓮耶」を、元の時間軸に戻す研究──
再成長、もしくは“眠った意識”を目覚めさせる技術に、彼女は取り組んでいたのだ。
そして今、万博会場でその研究成果が試される。
「再び成長させてしまうのか」「眠らせたまま封じるのか」──
灰原の手に託された運命は、人類の未来すら左右しかねない。
「あの赤ちゃん……本当に、あの方なのかもしれない」
コナンの声は震えていた。
「もしそうなら……哀。君の研究は、世界を変える」
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