第3話
ドスンという音と共に、コソ泥、いえ……今回は別件だったわね、は目の前の床に尻もちを突く形で以下略。相変わらずこんな追跡魔法に引っかかって……緊張感がないというか。
「……やぁ……久し振りというにはちょいと早い気がするのだがね、Fräulein♪ 今回は借りていた本はない筈だが……若しかすると
用意していた
「冗談は其れ位にしなさい。貴方の大好きな
「其の名は嫌いだと言ったじゃないか……」
「あら、謹んで拝命したかと思ってました。貴方にはピッタシですよ? 其の
「……獲物は?」
私は彼女を解凍した後其の手を握り、Yggdrasillの杖を使い空に魔方陣を出現させる。転移した先に見えるは歴史或る古城。
「……ふぅ、久し振りにこの辺りに来ましたが、あの美しかったサウィンド城も主を失いすっかりと寂れましたね……assassin、貴方の仕事はあの城のどぶ攫いをし、落ちている極上の宝石を取得する事です。取得さえ出来れば汚れていても割れていても構いません。其れはそれで使い道がありますし……」
「ワタシに任せるという事は、宝石以外は
「御自由に。終わったら何時もの様にこの
「帰って直ぐ抱きしめてはくれないのかい?」
「血塗れの侭では嫌ですね。あ、勿論宝石もきちんと洗浄してから書庫に来る様……では」
私は鼠に加護の付与をした「
……
果たして、私が本を閉じる頃、濡れ鼠と化したassassinは、依頼通りに極上の宝石を連れて書架へと戻ってきた。
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