第2話 つらい感覚はないけど、麻痺しているだけなのかもしれない

 結論から言わせていただくと、吾輩の親は、虐待に及ばぬ毒親です。

 例えば、親が子供を叱る場面。


 宿題をすっぽかす、提出物をすっぽかす、勉強をしない、勉強ができない、字が汚い、間違いが多い、成績が微妙、両立がでたらめ。


 今、隣で、丁寧に書いていたであろう弟が「字が読めない。汚い。丁寧に書け」と言われたばかりです。

 で、二時間前は、吾輩がクラス写真に映っていない(登校はしていました)ことを「迷惑。小さい子じゃないんだから。大人になれ」と言われたばかりでした。


 吾輩が叱られたときに過去に起こした行動は以下です。


 ①泣く

 ②反抗する(逆ギレ)

 ③素直に謝罪する

 ④黙る


 親御様の方々のお子様も、これらの行動を起こしたことが、一度や二度はあるのではないでしょうか。


 で、そうした場合の、親の返答が以下。


 ①「泣かない。小さい子じゃないんだから」

 ②「ふてくされるな。いい加減にしろ」

 ③「謝って済む話じゃないんだよ」

 ④「だんまり、ほんっとに昔から変わんないな」


 どうしろって言うねん。

 いや。何を言っても、余計に叱られる運命しかないやろ。どうしてろって? これ以外、何をすれば?


 言っておきます。これは、エッセイです。実話なんです。

 あとついでに、吾輩は一部、精神年齢が三年、五年、七年、十年と遅れていたり、進んでいたりして、個性というにはバランスの悪い人間です。


 吾輩は涙もろく、ちょっとあっただけですぐ泣きます。

 推しが、夢を叶えたときの歌で、昼休みに泣く。

 推しが、作中で死ぬことを思い出して泣く。

 自分の人生が救いようがなさすぎて泣く。

 タイタニック号の悲劇の実話を観ただけで泣く。


 もちろん、叱られたら、泣きたくなくても涙がこぼれます。

 泣きたくて泣いてるんじゃありません。むしろ、泣きたくないんです。でも、涙があふれる。

 その状態で「泣かない。小さい子じゃないんだから」と言われたら、たまったものじゃありません。


 そして、反抗の意思は内に秘めているのです。

 こっちにはこっちの事情があるんだ、仕方ないんだよ。悪いよ、分かってるけど、でも、理由があるんだよ。

 でも、それを示しても、言い訳、ふてくされにしか聞こえない。「お前が悪い」という札を貼られた気分です。


 で、悪いことをしたら謝ると教えたのは、親や教員です。

 ではなぜ、素直に謝罪をしたら「謝って済む話じゃないんだよ」って、叱られるんでしょうか?

 吾輩、謝れって教わったのに、謝るなって言われてる?


 残るは④ですが、正直言ってこれが一番楽というか、傷つきません。

 だって、言葉を紡がなくていいんです。底辺作家ですから言葉を紡ぐのは好きですが、今まで語った通り、言葉を紡げば、ぴしゃりと叱られてしまうのですから。

 黙っていても叱られますが、でも、後悔しなくて済むんですよ。


 言っても叱られるのだから「言えばよかった」という思いが浮かばないんです。

 言って叱られて「言わなきゃよかった」と悔いることばかりですが。


 で、この「だんまり、ほんっと昔から変わんないな」と言われることですが、おそらく叱られ始めてから十年、ずっと言われ続けたせいか、痛い、つらいと感じることはなくなったんですよね。

 麻痺しているだけかもですが。


 だから、緘黙というわけではないけれども、叱られたら話さない癖がついてしまったのです。

 つらい目にあったら、黙っておけば、時とともに流れるから。少し大変かもだけれども、口を閉ざす。苦労や黒い過去があっても、話したくはない。声に出したくはない。叱られるから。


 カクヨムにすがった理由は、簡単ですね。

 声に出さなくてもいいから。


 カクヨムはあくまでも「小説投稿サイト」であって「相談所」ではないですが、吾輩にとっては、自分の悩みを吐き出せる場所になっていました。

(それでファンを少し失ったようにしか思えないけれども)


 話は変わりまして、中学・高等学校の部活を含めて、学生の中には「ダンスで大会を目指す」方もいますね。

 強豪ダンス部の(吾輩は合唱部オンリーなので独断と偏見ですが)イメージといえば。


 鬼の振付師が、踊る生徒にこういう。


「踊りが汚い! フォーメーションがひどい! 表情! その顔で踊るわけ? 本気で踊らないならここにいなくていい!!」

(あくまで、合唱部にしか入っていない無知の吾輩の偏見です。そんな厳しくないダンスクラブやダンス部だってあります)


 で、これと、厳しい親の違いは。

 望んで叱られているか、否か。

 すぐに逃げられるか、否か。なんですよ。


 クラブに入るとき、特に強豪と名高いダンス部やダンスクラスに入るとき、叱られて厳しい言葉を言われることは承知の上ですよね。

 でも、どんな厳しいことを言われても、優勝したい。踊りたい。

 で、あ、無理かも……ってなったら、退部届やら、退会届やらを提出すれば、いつでも逃げられる。

(あくまで、合唱部にしか入っていない無知の吾輩の偏見です)


 親は、違います。

 望んで、毒親の子に産まれたわけじゃない。過保護な親に、放任主義な親に、過干渉な親に、産まれたかったわけじゃない。でも、産まれてしまった。だから、嫌だ。

 嫌でも、逃げられない。吾輩は未成年です。家以外に帰る場所はありません。お金もなく、自分では生活できません。家にいるしかありません。そして、その家には、親がいます。毒親がいます。


 吾輩は今すぐに、この家から逃げて、もっともっと幸せな暮らしをしたいと思ったことがあります。千回でも二千回でも思いました。もっと思っているかもしれません。

 でも、いつも思っていないのは、愛されているからに他ならない。

 でも、思うときもあるのは、毒親だからに他ならない。


 愛されているけれども、毒親の子供に産まれてしまった。

 虐待されていないけど、親は毒親だと言われてしまった。


 愛を感じる瞬間もある。

 当たり前のように風呂が沸くこと、寝れること、三食が食べられること、小説を書けること、動画を観れること、生きれること云々。


 けれども、毒親だと感じる瞬間もある。

 当たり前のように吾輩が正座させられること、部屋のどこかで必ず怒鳴り声が聞こえてくること、乱雑な物音が聞こえること、テレビもつかず喋らず、両親ともに顔が不機嫌なこと。


 親が吾輩にくれたもののうち、無償の愛は何割で、親の理想は何割で、それ以外は何割なのか。

 そもそも、愛と思っていたものは、愛だったのか。

 理想を押し付けられていただけだったのか。

 果たして親が悪かったのか。

 子のせいなのではないか。


 答えが出ないまま、全体的にはくすんだ、幸せなようで幸せじゃないような、でも確実に幸せで素晴らしく裕福な生活を送っておる今日この頃です。

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毒親ってなんなん? いい親ってなんなん? 月兎アリス/月兎愛麗絲@後宮奇芸師 @gj55gjmd

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