サッカー悪魔辞典

ラピナ

第1章 第0話

「……絶対に、告白するんだッッ!」


蹴鞠坂終太郎けまりざか しゅうたろうは、生徒会長でもあるサッカー部部長からサッカーボールを奪い取る。


が。


「そのボールは、僕に戻って来る」


部長はそう言うと、足元のボールを脚で掬う。


「な、……えっ?」


確かにボールは終太郎の足元にあった。


一秒前までは。


「み、見えなかった……。何が起こったの!?」


そう思わず叫んだのは、この戦いのある意味元凶である女子生徒だ。


「橘くん、君にだけ特別に教えてあげよう」


部長はリフティングをしながら、言った。


「僕のボールは常に人の目には見えないくらい小さな回転がかかっている。常に、といっていいだろう」


部長が膝で、足の甲で、リフティングしているボールはとくに回転しているようには見えない。


いや、彼女からはそもそも無回転に見えた。


「そりゃそうさ。。見えてしまったら、サッカー部うちの部長は務まらないよ」


よくわからないけど、最もらしく言っているからそうなのだろう、と彼女は自分を納得させる。


「くっ」


「さあどうする、終太郎チャレンジャー

この部長を破り、橘くんに告白の権利を得られるかな?」

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