逃亡

3歩ネコ

第1話逃亡の始まり

気が付くと何処かの部屋にいた。

(なんだここは?)

何故ここにいるのか全く思い出すことが出来ない。

辺りを見渡してみる。

部屋は大体8畳程、寝具があり、机があり、本棚にはあまり見たことのない言語で書かれた本が並んでいる、どうやらここは誰かの部屋で、何者かにこの部屋に連れてこられたのだろう。

(ここに連れてこられてくるまでの記憶が思い出せない)

何故だか、全くここに至るまでの記憶がなく、何も思い出す事ができない。

とにかく相手が誰かも分からなければ目的もわからない。

(それに、いつまでもここにいるのは良くない気がする)

一通り部屋を漁るが特になにもない、部屋のドアにカギは掛かってなさそうなので部屋の外に出ることにする。

慎重にドアを開け、辺りを見渡しそろりと廊下に出る。左側に下に降りる階段がある、どうやらここは2階のようだ。

(他の住人の気配はない…)

(ざっと見渡したが、割と大きな屋敷みたいだな

…)

今出てきた部屋を含め、4つ部屋がある、この2階には誰かいる様子はなさそうで他の部屋の探索も頭をよぎる。

(どうやったかは判らんがいきなりなにも言わずこんなところに連れてくるような者が、まともな奴な訳ないから先ずはこの屋敷から逃げよう)

廊下をゆっくり歩きながら階段の手摺をに手を掛けゆっくり下に降りていく。

一階に降りると、大きなホールになっており、正面におそらく玄関であろう扉がある。

左右に扉があるが、閉まっているため中はわからない。

とりあえず正面の扉に向かい開けようと試みる。

扉にカギは掛かっておらずあっさりと外に出ることが出来た。

(案外あっさり出れたな…)

(正面の門を開けてこんなところにはすぐにおさらばだ)

扉を背に正面10メートル程に門がある。

門前に近寄り開けようとするが、開ける事ができない。

(カギはない筈なのに何故開かない)

どんなにやっても開ける事が出来ない、ならばと

乗り越えようとしたが、見えない壁に阻まれる。

(なんだ!?なんだこれは?)

(こんな事があるのか?何が起きてる?)

軽くパニックを起こしながら辺りを見渡し、他に外に出る手段はないか考える。

チャリンと後ろから音がし、恐る恐る振り返る。

地面にカギと封筒が落ちている、封筒を開け、中の手紙を見てみる。

【門を開けるためのカギを与えル。門を開けてから  

 10分後から始まル。この周辺をとりまく結界を抜

 ければ君の勝ちダ。結界を抜けるには結界を解か

 なければいけなイ。結界を解くには3つのカギを

 見つけなければいけなイ。3つのカギを見つけた

 らそれを持ち門を閉じロ。         】

(なんだこれは?何が始まるっていうんだ?)

(とにかく手紙の通りにしなければいけないのか)

(ならば…)

意を決してカギをもち門を開ける。門の外に一歩外に出た瞬間それは現れた。

「うぁぁぁぁぁ!!!!」

それは、異形だった、目は紫に光り、本来右手のある部分には足が付き、右足の部分には右手が付いている。さらに腹の部分に口があり、鋭い牙からは涎が垂れている。顔の部分にも口はあるが何故か縫われている。

「あどじっぶんんん!!」

「がりの始まりだぁぁぁあ!!!」

おぞましい声で始まりの合図を叫び、決死の逃亡劇が幕を開けた………


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逃亡 3歩ネコ @sanpo247ri

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