【改稿版】青春プロデュース

浅野エミイ

プロローグ

 学生の頃、特に高校生のときにやっておいたほうがいいってことはたくさんある。それに気がつくのは大抵大人になってからだ。


 俺がやり残したこと。それはひとことに集約される。『青春』だ。自分で言うのもおかしな話かもしれないが、俺は真面目で地味な子だった。不良になって、むき出しのナイフみたいに尖っていたわけでも、チャラチャラと女の子と遊んでいたわけでも、部活に専念してたわけでもない。彼女はできたが見事にフラれた。ずっと就きたい仕事、コピーライターになるためけのために修行していた。……俺は仏か何かだったのか? なんて目が覚める。


 だから、今この場にいる少年を見ると、心底うらやましいと思ってしまうわけだ。――ま、彼自身はその貴重な時間を過ごしていることに気づいていないわけだが。

でも、高校二年の学園祭、彼にとって一生の宝になるだろうな。


 ああ、本当にうらやましい。俺は空を仰いだ。空は真っ青で、なによりも純粋なんだ。

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