あなたの残り

春紀 結葉

始まり

死とは、なんだろう。

私は今までの人生何回考えたかわからない。

私にとっては身近なものであり、抗えないもの、そして私を苦しめ続けた最も憎いもの。



桜が咲きたくさんの人々が不安と期待に心躍らせる頃。

私、桜井白沙は高校の校門の前で立ち止まっていた。

私には人には言えない秘密がある。

それは他の人の死期が近づいた時にその人の周りに色が見えるというものだ。

どうせ言ったって信じて貰えることもないだろうが化け物扱いされるより隠しておいた方が身のためだ。

幼い頃からこの能力を知っている人達からは避けられていたし怖がらせるだけだったから元々友達もいない。

どこかに一緒に出かけてくれるような人もいない。

家族でさえ私のことを避け続けているのだから。

「受付します!」

そう聞こえてきた。

遅れてはいけないと思い早めに来てたがちょうどいいぐらいだったらしい。

今日は高校の入学式。

ただ地元からは少し遠いからという理由だけで選んだ高校。

ここなら今までの知り合いはほとんどいないし3年間ただ静かにして卒業さえ出来ればいい。

それだけを考えていた。

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