第15話
45
半年前
机の上に一輪挿しの白菊が乗っていた
「河野のやつ、この前まで“俺は青春中なんだ”
とか訳分かんない事言って
走り回ってたのに、」
「雪道でスリップしたトラックに突っ込まれるなんて
大体何で、真夜中に自転車で横浜走ってんのよ。」
「あいつの好きな子が、近くに入院してたらしい。」
「じゃあ、その女が、あんなとこまで河野を呼びつけたのか?
河野も馬鹿だよ、自転車で行くなんて。」
「あいつが会いたくて勝手に行ったんだよ。」
「でも、そんな女に関わらなきゃ
河野死ぬ事なかったじゃないか!」
「大野、それは八つ当たりだろう?」
「それなのに、そいつ葬式にも来なかったんだ、
許せない!」
「それは無理だってー」
「あのー、お話中すみませんがー」
「なんだよ、え⁉︎
うわーっ!」
教壇の上に正座をして河野がいた。
「うわー!」
「キャー!」
みんな一斉に後ろに逃げようとして
机や椅子が将棋倒しのようにガタガタ倒れた。
「おまえら、まだ残ってたのか、うるさいぞ」
「先生!あれあれ!」
後ろの壁まで後ずさった内海が尻餅をつきながら教壇の上を指差した。
「え? うわーっ!」
46
「河野、おめー何食ってんだよ。」
「もちろん、杏奈ちゃんの愛妻弁当。
どーだー羨ましいか、」
「このヤロ、偉そうに、ちょっと食わせろ、」
「あっ、やめろこら!」
杏奈は理沙のネイルをメンテしていた。
「あんなバカたち、放っておこ
杏奈のこのネイルさ、本当に凄いと思うよ
将来何か就きたい職業とかあるの?」
「ん、特に考えてないなー
理沙は?」
「私は美容師になりたいんだ
でもまだ考え始めたばかりだけどね。」
「え、なに、理沙、美容師になるの?
あのね、あのね、私はエステティシャン!」
「えー私、化粧品の美容部員!
ほらお試しで、化粧品いっぱい貰えるじゃん。」
「なんだかお嬢さん方、盛り上がってるねー」
西村がヘラヘラ笑った。
「ユキジはヨガのインストラクターかあー
よし決めた!
じゃあ、みんなで総合美容サロン作って、
大儲けしようぜ!」
「それいいじゃん!」
「さんせーっ!」
「こいつら、たくましいなあー」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます