元カノからフラれた俺が、学園の美少女に告白されてから修羅場になったんだけど⁉
譲羽唯月
第1話 元カノからフラれた俺は新しいクラスで――
中学の頃は、自分の方から告白した事もあったのだが、普通に断られ、次の日には、それをネタにされて弄られた事もあったのだ。
悠一は過去を振り返らずに青春を送りたいと思い、地元から少し遠い隣街の高校へ進学した。
がしかし、思い描いていた通りの高校デビューにはならず、文化祭の時から付き合っていた彼女からは、今年の二月にフラれてしまったのだ。
彼女曰く、ただの遊びだったらしい。
そんな経験ばかりをして、悠一は恋愛に消極的になっていたのだ。
新年度も始まり、四月。
高校二年生に無事に進級した悠一は気分を切りかえて過ごして行こうと考えていた。
いつまでもクヨクヨと考えていてもしょうがないからだ。
新しいクラスには、悠一の事を振った元カノの姿はない。
新鮮な気分で、教室の自分の席に座っている悠一。
現在は朝のHRを終えた、一時限目である。
「皆の自己紹介も終わったところだし。では、今日から一年からよろしく」
担任教師の方は女性であり、
黒色のスーツに身を包み込んでおり、綺麗に整えられた茶髪なショートヘアが似合っている。
見た感じ、二〇代後半だと思われる。
担任教師はやるべき事を終えると、教室にいる全員の姿を見渡した後で連絡事項ノートを確認していた。
「えっとね。今日の午前中は自習みたいなものだし。後は委員会の活動や、クラスの委員長を決めないとな」
一時限目は、今年一年を通して行う委員会活動などについて、クラスの皆との話し合う事になり、次第に教室内が騒がしくなっていく。
一時限目が終わった直後の教室。
悠一の耳に、とある子の声が届く。
席に座っていた悠一は、隣の席の子から見られている事に気づいた。
その子はクラスメイトの
絃葉は、黒髪のロングヘアで明るい感じの美少女である。
学園の中でも人気な方で、異性から告白される事も多々あると噂で聞いたことがあった。
「ねえ、一〇分休憩だし、ちょっと君と話したい事があるの」
絃葉から誘われ、悠一は彼女と一緒に席を立ち、教室を後にする。
絃葉と一緒に向かった先は、校舎屋上の扉前だ。
今は彼女と二人きりの状況であり、絃葉の方から話しを切り出してくる。
「私ね、橋本君と、その……付き合ってみたいと思って。それでね、ここまで呼び出したの」
「そういう事だったの」
「うん。私、去年から橋本君の事が気になってて」
「そ、そうなの? でも、去年は別のクラスだったような。あまり接点とかもない気がして」
「そうだよね。接点は殆ど無かったよね。橋本君的にも急に告白されても困るよね」
「そ、そんな事はないけど」
「でも、橋本君さえよければ一緒に付き合ってほしいと思って」
今までの人生、告白して断られたり、付き合っても遊びだとフラれたりと散々だった。
悠一は唸りながら悩み込んでしまう。
が、今日から気分を切りかえてやって行こうと決心したばかりだった。
色々と自身の中で葛藤しながらも。
「……いいよ」
と、頑張って返答したのである。
「本当に?」
絃葉の表情が明るくなった。
「でも、どうして俺に興味を持ったの?」
「去年って、図書委員会をやっていたでしょ?」
「確かに、そうだね」
「去年から、しっかりと活動に取り組んでいたし、私が本を借りる時も、どの本がいいかちゃんと教えてくれたでしょ?」
「……そ、そうだったね。でも、良く覚えてるね、それ」
「自分が受けた事はちゃんと記憶してるものよ。じゃあ、そういう事で今日からよろしくね」
「う、うん」
絃葉は明るい性格をしていて、礼儀正しい感じの子だった。
嫌みな感じもなく親しみやすい口調だった事もあり、悠一からしても好感を持てたのだ。
彼女とは上手くやって行けそうだと確信し、悠一の方からも、これからよろしくと告げる。
「そろそろ、二時限目も始まるし、戻ろ」
話に切りがついたところで、絃葉の方から先に屋上前の階段を下って教室へと向かって行く。
悠一は一度深呼吸をした後、頬をつねる。
「これは夢じゃないよね……」
現実だと理解した悠一は、彼女の後を追うように移動し始める。
これから楽しい青春時代を送れればいいと思いながら。
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