それぞれの覚悟

「・・・私に嘘をついていたのですか、フェイト様・・」と、ネメシスが真っ青になって言う。

「みなしごのお前を、『ネメシス』という職に就かせ、寿命を延ばし、利用してやったのだ、感謝してもらいたいぐらいだ」とフェイト。

「この400年というもの、楽しかっただろう、マドリーン」と、フェイト。「お前は優秀に働いてくれた」

「そ、そんな・・・・」と、マドリーンが、降魔剣をガシャン、と地に落とす。

「フェイト、ガーディアンの名にかけて、キサマを殺す」と、オーウェン。

 そこからは、アガーテも見ていたが、彼女の目には追えないぐらい、素早い剣激が続いた。

 オーウェンの、列王句践剣の、死天使、ザフキエルも、先の戦いでだいぶ消耗していた。

 ザフキエルのスロウン・アローも、フェイトには何発か当たったが、急所は素早くかわされてしまう。

 やがて、「そろそろ、我の真の姿を見せてやろう」と、フェイトが言って、フェイトの皮がはがれ、中から黒い樹木のようなフェイトの姿が表れた。

 同時に、地中から、死霊の国の化け物たちが何百体と呼び出される。オーウェンは一瞬、目の前が真っ暗になった。


 

                *


「俺が行かなきゃ」と、ハインミュラーが呟いて、ベアーテのそばにいたのだが、立ち上がったのは、3人のガーディアン達が、シェフチェンコに苦戦している最中だった。

「ベアーテ、君にも見えるかい。あそこにアガーテがいるようだ。それに、地響きや爆発音も聞こえる、あそこでオーウェンさんと誰かが戦ってるんだ!ベアーテ、俺はまだ戦えるから、ちょっくら行ってくる!君は木陰で、安全なところで待っててくれ、必ず、この戦いのあと、迎えに行く」と、ハインミュラー。

「ハインミュラーさん・・・姉上様を、頼みます」と、ベアーテ。

「そこを動かないでくれよな!」と言って、ハインミュラーは剣を携え、小雨の中、走って行った。


            

              *



「おい、聞いたか、さっきの爆発音」と、ラーフがテレンスに言う。

「オーウェンのやつが誰かと戦ってる、ってわけか!だが、誰とだ・・・!?!?誰か、様子見に行った方がよくないか??」と、テレンス。ゴドウィンも頷く。

 シェフチェンコは、ガーディアン3人を相手に、なかなかの戦いを見せていた。時間稼ぎのようにも思えた。3人がイライラする中、プルドー・ベイ城の裏庭あたりから、爆発音が何度も聞こえていたのだ。


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