第3話 初対面
それから派閥に入るときの手続きの説明やらを済ませて、教室に戻る頃には学園初日のスケジュールは終わって人は殆ど寮に帰った頃だった。多分プリントの類が配られてるだろうし回収しないと。
「あ、お帰り渡来くん。」なぜか声を掛けられた、確か名前は......
「えっと...夢洲さん、まだ残ってたんだ。」夢洲星良さん、隣の席の女の子で、どちらかといえばかっこいいタイプの警察犬みたいなとんがった犬の耳をもっている。
「うん、渡会くんを待ってたんだよ。派閥の説明と色んな書類〜必要でしょ?」
「...ありがとう。」なんだこの人涙が出そうだ...優しすぎる...!
「だけど派閥の説明は聞いてきたからさ、」
「う〜ん、中立の説明も聞いといた方がないいかなって思ったけど...まぁいらないかな?」
「あぁ...まぁたしかにそうかも?」気にしすぎな気もするが、たしかに一理あるな...。
「まぁでも実績派の人も来たけど、とにかく戦って経験を積む、経験に勝る物はないって感じだったってだけなんだけどね〜。」それだけか...それだけのために俺を待ってたのか...?何かを狙ってるのか?自慢じゃないがこれまで女の子に好意を持たれるような経験は身に覚えがない、ましてや初対面でなんてもってのほかだ。
などとくだらないことを考えていると、
「唐突に連れてかれちゃったし、こういう助けが必要かなって思っただけだから、そんなに深く受け止めないでね?」当然である、でもさすがに優しすぎる気がする。学級委員長を決めるときには推薦しよう。
「...くだらないこと考えてない?」
「いや、全然、まったく。」鋭い...犬って心も読めるのか...。
「ふふ、まぁいいや、それじゃ!また明日ね!」軽やかに走っていってしまった...念の為、あくまで念のために一応どっちの派閥を選ぶのか聞こうと思ったのに忘れたな、廊下に顔を覗かせたら既にかなり遠くまで走ってる。めちゃくちゃ足速いな...逃げるみたいなガチダッシュだ...。
「昨日はごめんね?ちょっと急いでてさ。」次の日、朝席に着くなり夢洲さんが話しかけてきた、
「いや、まぁ誰にでも理由はあるでしょ。うん。」なんとも間抜けな返事だ。
「おうお前ら席につけぇ〜。お、渡会いるな?昨日は誘拐されてて会えなかったからなぁ〜。初めましてだ、俺は担任の白金だぁ。担当科目は数学だな、よろしくぅ。」
「よ、よろしくお願いします......」なんでどんどん近づいてくるんだ、圧が強い......。白金先生はそのまま近づいて俺の肩に手を置いた。かと思えばそのまま振り返って教卓に帰っていく。
「俺の能力はマーキングだぁ。こうやって触れた人を記憶し、一定の範囲でならこんな風に、投げたものがそっちに勝手にとんでったり、位置を把握できる。まぁ教師向きだぁなぁ?サボりは許さねぇからなぁ。」
びっくりした...おい、普通に生徒にチョークを投げるなよ。
「まぁそんな目でみるなよ、よけれる速度だったろ?」
確かに、後ろ向いた先生が投げたチョークは軽く浮き上がって投げた方と反対にいる俺の方に飛んできたが勢いが足りなかったのか失速して手でキャッチできる程だった。でも投げるなよ。
「さて、じゃあ全員の顔合わせも済んだことだし、早速ホームルームを始めるぞぉ。まず、午後から全員動きやすい服装で運動場。能・体力測定がある、まぁお前たちはクラスメイトで、まぁ仲間ではあるがライバルでもあるから能力の秘匿は自由だ、使用不使用はどちらでもいいぞぉ。ただの指標として、義務があるからやって提出するだけだぁ。」この学園は派閥の差もあるし、通常の成績とは別個で能力者としての戦闘訓練のレートが存在してる。軍属になるか、警邏になるか、それとも他かに問わず、学園での成績は全て今後のキャリアに関わる。
「そうかそういう考えもあるか......。」
「もしかして渡来君って思ってたより真面目な感じ?多分割りと隠したい人っていると思うよ。私はまぁ...見ての通り分かりやすいから普通にやるよ。まぁそもそもオンオフなんてつけれないけどね。」
「なるほど、たしかにな。」ってことは能力の種類によっても条件がそもそも違うから能力アリで体力測定をするなんてあんま意味ないのでは......?
「なんか仲良さげじゃん?うらやましい限りだぜ。」後ろから声が聞こえてくる。
「あはは、だってさ渡会君。モテ男はつらいね?」え?そこのっかるの夢洲さん?
「え?そこのっかるの夢洲さん?」
「ふは、心の声そのままでた見たいな顔してるねぇ。どもども渡会君、この私の隣の藁木羽君はスカウトされなくってやっかみたいみたいでさ。」
「うるせぇな蓬、てめぇも燃やしてやろうか?」
「え?もしかして俺燃やされるの確定してるの?」
「おいそこうるせぇぞぉ。」チョークが飛んできた。見事に四発命中した。
異能学園パンクラチオン 熊谷日向 @kumagaya0312
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。異能学園パンクラチオンの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます