第2話 アルプス一万尺
♪アルプス一万尺 小槍の上で アルペン踊りを さぁ 踊りましょ
さて、この小槍とは、長野県にある『槍ヶ岳』の山頂付近にある、100mほど突き出た岩のことなのですが、とても恐ろしい所です。
残念ながらカクヨムでは画像を貼り付けられないので、興味のある方は画像検索してみて下さい。
まず、槍ヶ岳に登るというだけでもかなり大変。日本第5番目に高い山で標高3,180 m。登山難易度で言えば日本第3位。
標高だけが問題なのではない、だって、そういう意味では日本第一位の高さである富士山でさえ、その難易度でベストテンに入っていないからである。
位置的には日本アルプスの真ん中くらいにあって、槍ヶ岳登頂を目的としてプランを立てても途中最低1泊は必要。天候が悪いと登頂は無理だから、出来れば槍ヶ岳山荘に何泊かするつもりで余裕をもってチャレンジして欲しい。
まぁ体力さえあれば初心者でも大丈夫かもしれないが、その場合でも、必ずベテランが同行してのサポートは必要だ。
そして頂上まではかなり険しいので、出来ればロッククライミングの技術が必要ではあるが、さすが人気の山。ちゃんとそこら辺は考えてあって、途中に鎖やハシゴもあるから、そこに自力で辿り着ける位の人なら、なんとか山頂まで登る事は可能でしょう。
でも、それは槍ヶ岳の山頂に登る場合において事。
その途中にある小槍頂上は、狭く険しいし、そうそう登りたい人なんかいないから、鎖も梯子も無い。どうしても登りたい人は、その限りなく垂直に近い登頂ルートを、自力で登りながらハーケン打って、ロープをかけてルートを確保しながら登るしかない。
じゃあ上級者以外には絶対に無理なのかと言われたら、まぁその場合は、それこそ人脈ですね。上級クラスの人にロープをかけて貰い、そのロープを頼りにすれば何とか上ることは可能でしょう。ただそれでも、こっちの場合は本当にクライミングの技術が必要なので、初心者ではなく、最低初級者レベルであれば可能かもしれないです。その上級者たちのサポートがあれば。
さて、登った。それは良い。
次の難関は、アルペン踊り。
Youtube では、この小槍の上で2人の女性が向かい合って手遊びで、♪アルプス一万尺~とやっていたが、本当のアルペン踊りはそんなものではない。
でも『アルペン踊り』でググっても、アルプス一万尺関係のものしか出てこない。欲しいのは歌の語源の方の『アルペン踊り』で、アルプス一万尺アフターではない。
ちなみに『アルペン』とはアルプスのドイツ語読み。アルプス山脈は、西はフランスとイタリアの国境沿いから北上してスイスに入り、そのままオーストリア沿いに東へ。オーストリアをまたいで一部はドイツも含むが、最東端はスロバキアにかかる。
でもってアルプスではなく、アルペンと言うからにはその中のドイツ語圏の地方の事であろうと推測。
となれば、ドイツとオーストリア。あとスイスも多国語を使うが、主としてはドイツ語なので、まぁスイスもドイツ語圏として、この3カ国であろう。
アルプスの少女ハイジの舞台、アルムの山もスイスにあるから、オープニング・アニメの最後で、♪ヨーロロヘアヘア、と歌をバックにハイジとペーターが両手を持ってクルクル回っているのも、そういう意味でアルペン踊りと呼んでもOKかもしれない。
そのアルムの山があるスイスとの国境を越え、オーストリアにはいったところはチロル地方と呼ばれ独特の文化があり、そのチロリアンダンスは千鳥屋のCMにも出てくるくらいにも有名らしいので、さっそくYoutubeで見てみた。
うむ、結構、激しい。
男女がペアになって、男側が持ち上げた手を支点に女がその場でクルクル回ったり、2人両手をつないで回ったり、でもってこの2人はフォークダンスの輪と同様、他のペア達と一緒にさらに大きな輪に沿って歩きながら踊る。
まるで太陽の周りを地球が公転し、地球の周りを月が公転し、さらに月も自転するがごとくである。
無理だ。
この小槍の頂上エリアは数メートル位はあるが、公転ダンス出来る程ではない。ギリギリ男女のペアが自転する様に踊れない事はないが、一歩足を踏み外せば100mの断崖絶壁を滑落する。
そんな生命をかけてまでやらねばならない様な事か!?
という訳で100歩譲ってもらって、もはやアフター版ではあるが、手遊びのアルプス一万尺するぐらいで許してもらおう。
それならもう既に誰かやっていて、Youtubeでも見本が見られる。ギリギリ生命の危険は、まだ少ない。
でも、それだけの準備と日数と労力と人脈をかけてする程の事かと問いかけたい。
それでも浪漫を求めて、やりたいなら自己責任で。
くれぐれも小槍の頂上付近にハーケン打って、命綱のロープで身体を固定して、2人ペアになって本格的チロリアンダンスにチャレンジするのは、無謀だからやめとけと忠告しておく。
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