第9話
翌日、彼は職場で1枚の写真と向き合っていた。
それは、例の花の写真だった。
その写真の作業に取り掛かってから数日が経つが、彼は相変わらず明るさや色に苦闘していた。
その日の彼は、陰影に神経をすり減らしていた。
真っ白な花に陰影をつける作業をしているのだが、どうもそれが上手くいかない。
明るすぎても花がわざとらしく見えてしまうが、反対に暗すぎてもくすんでしまう。
花弁の先端と付け根の明るさを調整するが、やはり思うようにはならない。
彼は、また頭を抱えた。何時間向き合っても作業が進まないので、ついには貧乏ゆすりが止まないほどだった。
就業時刻が過ぎ、彼は不完全燃焼のまま家に帰ることになった。
彼は明らかに目の疲労を感じていた。夜道を歩く間、彼はその暗がりにありがたみすら感じていた。
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