手合わせを終えて

「そうか!」


突然グレンさんが声を上げる。


「その糸をあらかじめ地面に打ち込んでおいて、それを引くことで身体を引き寄せて、あれを躱したのか!その後のあれは残像と……無属性の幻影辺りか?」


グレンさんがそう聞いてきたので、僕は笑みを深めることでそれに応える。


「しかし、良かったのですか?こんな簡単に教えてしまって。」


そうアルバートさんが聞いてくる。


「良いんです。僕も新しいことを知れましたから。」


僕はそう答える。


「そうか?特に何かを教えた覚えはないんだが……。まあ、お前がいいってんなら良いか。」


グレンさんはそう言うと、こちらを見ながら言う。


「まあ、これで条件は達成したな。」

「条件、ですか?一体何の……。」

「そんなの決まってんだろ?Sランクに入るための条件だよ。」

「え!?僕、そんなの達成した覚えはないですけど……。」

「いえ、達成していますよ。」


アルバートさんがそう言う。


「Sランクに上がるための条件は、Aランク冒険者としてめざましい活躍をし、2人以上のSランク冒険者から推薦を受けること、もしくはSランク冒険者、または元Sランク冒険者と一対一の模擬戦を行い、先に一本を取ることのどちらかです。ノア君、君はさっき、グレンさんから一本を取りました。一撃も攻撃をもらうことなく、です。これは先ほど述べた条件の二つ目を満たしていますので、一気にSランクへの可能となります。」

「で……でも!僕はSランクになるつもりなんてないですよ!?」

「まあそう言うなって。Sランクになりゃあ、いろいろ恩恵も大きいんだぜ?」

「それに付随する面倒のほうが大きいです!第一、僕は目立ちたくないんですよ!」

「でもなあ……。正直うちの国にSランク冒険者が増えてくれるとめっちゃありがたいんだよなあ……。ほかの国にはSランク冒険者は最低でも2人はいるんだが、うちには一人だろ?だからこの国、率直に言って舐められてるんだわ。でもお前がSランクになってくれれば、それもなくなると思うんだが、どうだ?」

「……そこまで言われて断れるような人じゃないことを知ってて言いましたよね……。……分かりました。そこまで言うなら受けますよ。」

「そうか!なら、本部に連絡を入れないとな。順調にいけば多分だが2週間ぐらい後に認定式があると思うから、覚えておいてくれ。」

「え?そんなの聞いてないですって!僕、そんな式典に出席できるような服なんて持ってないですよ!」

「その点なら大丈夫だ。この式典は普段使ってる装備がドレスコードになってるからな。お前の装備なら、見ただけでかなり高位の装備だとわかるから大丈夫だろう。」

「ならいいですけど……。」

「そいじゃまあ、式典の日程が決定すればこっちから連絡を入れるから、それまで待っててくれ。くれぐれも、死ぬことはないようにな?」

「わかりました。」


そう言って、僕はギルドを後にした。


その後宿にたどり着いた僕は、頭の中でナビィに問いかける。


(── で、あのスキル、何?僕、あんなのとった覚えないんだけど?)

【はい、主様マスターの所有しておりましたスキルの統合ができそうでしたので、主様が寝ている間に統合しておきました】

(何ですぐに教えてくれなかったのさ……。……まあ、やっちゃったことは仕方ないよね。で?このスキルって結局どういう効果なの?)

【はい、まずこのスキルに関してですが、鑑定 のスキルと 魔導 のスキルを統合したものとなっております。そのため、魔方陣を解析し、相手の発動した魔術のコピー、及びアレンジが可能となります。】

(へー、なかなか便利そうじゃん。今のところデータが取れてるのは?)

【炎中級魔術の フレイムランス と無属性魔術の 身体強化 、及び 硬化 の三つです。】

(へー。フレイムランスはあいつがよく使ってたから分かるけど、身体強化と硬化って?)

【身体強化 は自身の肉体に魔力を纏わせることで基礎的な身体能力を底上げする魔術です。硬化 は文字通り、魔力を纏わせて対象を硬くする魔術となっています。】

(なるほど。道理でギルドマスターの拳があんなに硬かったわけだ。これって自分以外にも使えるの?)

【はい、可能です。】

(じゃあ、単純に武器を壊れにくくしたりも出来るわけだ。なるほど……。それじゃあ明日からは、少しでも使える魔術を増やそうかな。)


そう明日の予定を立て、僕は眠りについた。

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