ビルの前の夜風は冷たく、5人の体を容赦なく震わせていた。

「彩花…まだ…カメラ、映してるよね…？」

美咲が震える声で囁き、マスコミのライトをちらりと見る。

赤と青のサイレンが交錯し、警察車両が遠くで光る。

「気にしないで、美咲…今は…耐えるだけだよ。」

彩花は美咲の手を握るが、彼女の心は羞恥で重い。

「全国に…あんな姿…何度も見られたなんて…」

玲奈が膝を抱え、涙をこぼす。

「玲奈、顔を上げて。私たち、生きてるよ。」

結衣が玲奈の肩に手を置き、声を絞り出す。

「…こんな屈辱…どうやって耐えれば…？」

真央が低く呟き、地面を睨む。

テロリストは5人を銃で囲み、警察を睨み続けていた。

「要求を聞け！ さもないと、こいつらは終わりだ！」

リーダー格が怒鳴り、彩花の背中に銃を押しつける。

「やめて…お願い…これ以上…！」

彩花が叫ぶが、男は彼女を強く突き飛ばす。

「黙れ！ お前らの命は俺たちが握ってる！」

銃を持った男が笑い、5人を見下ろす。

「彩花…怖い…もう…耐えられない…」

美咲が泣き声を漏らし、彩花の腕にしがみつく。

「美咲、大丈夫。一緒にいるよ。」

彩花は答えるが、彼女の膝も震えている。

警察の拡声器が響いた。

「こちらは警視庁！ 交渉には時間がかかる！ 人質の安全を優先しろ！」

力強い声がビルに反響するが、進展は見えない。

「時間だと？ ふざけるな！ 今すぐ要求を飲め！」

リーダー格が怒りを爆発させ、銃を空に撃つ。

バン！

銃声に、5人が一斉に体を縮こませる。

「きゃあ！」

玲奈が悲鳴を上げ、結衣にしがみつく。

「玲奈、落ち着いて！ 撃ってないよ！」

結衣が玲奈を抱きしめ、必死に励ます。

「彩花…警察…本当に助けてくれる…？」

美咲が涙をこぼし、彩花の手を握る。

「絶対来るよ。信じよう。」

彩花は答えるが、彼女の心は恐怖で一杯だった。

リーダー格が5人に目を向け、苛立った声で叫んだ。

「お前ら、警察が舐めた真似をするなら、もっとみっともない目に遭わせるぞ！」

彼は彩花を掴み、銃を突きつける。

「上着と靴、脱げ！ 今すぐだ！」

その言葉に、5人の顔が凍りつく。

「え…何！？ やだ…そんなの…！」

玲奈が悲鳴のような声を上げ、彩花の手を握る。

「黙れ！ 従わなきゃ撃つぞ！」

銃を持った男が玲奈に銃口を向け、彼女を黙らせる。

「彩花…どうしよう…こんな…」

美咲が泣き声を漏らし、結衣にしがみつく。

「…言う通りにしよう。今は…耐えるしかない。」

彩花は震える声で言い、仲間を見渡す。

5人は震えながら、ゆっくりと上着を脱ぎ始めた。

彩花がジャケットを地面に落とし、冷たい風が薄いシャツを刺す。

玲奈は涙をこぼしながらセーターを脱ぎ、肩を縮こませる。

美咲は嗚咽を漏らし、フーディーを地面に置く。

結衣は唇を噛み、トレーナーを脱ぐ。

真央は無表情を保とうとするが、彼女の手も震えながらジャケットを脱ぐ。

「靴もだ！ 早くしろ！」

リーダー格が怒鳴り、銃を振り上げる。

5人は靴を脱ぎ、冷たい地面に素足で立つ。

「こんな…ひどい…」

玲奈が呟き、腕で体を抱く。

マスコミのカメラがその姿を捉え、ライトが5人を照らす。

「見ろよ！ アイドル様の情けない姿を！」

リーダー格がカメラに向かって叫び、笑い声を上げる。

「放送しろ！ 全国に晒してやれ！」

彼の声に、カメラがさらに近づく。

「やめて…お願い…映さないで…！」

美咲が叫ぶが、レポーターの声が遠くで響く。

「スターリットの5人…過酷な状況が続いています…」

その言葉に、5人の胸が締め付けられる。

「また…全国に…見られてる…」

彩花が唇を噛み、涙をこぼす。

「こんな…恥ずかしい…もう…終わりたい…」

玲奈が膝を抱え、地面にしゃがみ込む。

彩花の心臓は破裂しそうだった。

（ファンに…こんな姿…何度も見られたなんて…）

冷たい地面が足裏を刺し、カメラの光が目を焼く。

（もう…リーダーとして…何もできない…）

彼女の胃が縮こまり、絶望が心を覆う。

突然、下腹部に熱い波が押し寄せる。

（あ…また…！ ダメ…！）

彩花は必死に力を入れるが、恐怖と絶望が全てを飲み込む。

じわりと温かい感覚が足元を伝い、地面に水たまりが広がる。

「う…っ…！」

彩花は顔を覆い、嗚咽を漏らす。

水音が地面に響き、カメラがその瞬間を捉える。

「彩花…！」

玲奈が叫び、彩花の手を握ろうとする。

だが、玲奈自身も震えが止まらない。

カメラのライトが彼女を照らし、男の怒鳴り声が耳を刺す。

（やだ…また…！ もう…！）

玲奈の体が硬直し、冷や汗が全身を濡らす。

抑えきれぬ熱が足元を濡らし、地面に水音が響く。

「や…やだ…！ 見ないで…！」

玲奈は両手で顔を覆い、泣き崩れる。

美咲の目はカメラを追い、呼吸が荒くなっていた。

「美咲…！ こっち見て！」

結衣が美咲の顔を自分に向けるが、彼女の体は震える。

「結衣…私…もう…！」

美咲の声は震え、涙が地面に滴る。

熱い波が抑えきれず、彼女の足元に水たまりが広がる。

「う…ごめん…また…！」

美咲は泣き声を上げ、結衣の腕にしがみつく。

結衣の心も絶望で締め付けられていた。

（みんな…こんな目に…私が…何か…！）

彼女は冷静であろうとするが、カメラの光が近づく。

「動くな！」

男が結衣に銃を突きつけ、怒鳴る。

その瞬間、彼女の体が凍りつく。

（ダメ…！）

下腹部から熱が溢れ、地面に水音が響く。

「く…っ…！」

結衣は歯を食いしばり、顔を背ける。

真央は無表情を保とうとしていた。

（こんな…屈辱…でも…耐えるしか…）

だが、男の銃口が彼女に近づく。

「お前もだ！ 動くな！」

男の声に、真央の体が震える。

抑えきれぬ熱が足元を濡らし、地面に小さな水たまりを作る。

「…っ…」

真央は唇を噛み、視線を逸らす。

「ハハ！ また全員か！ 何度やってもダメだな！」

銃を持った男が笑い声を上げ、5人を指差す。

「アイドルってのは、こんな情けないもんか！」

リーダー格も笑い、カメラに向かって銃を振り上げる。

「彩花…ごめん…私が…もっと強く…」

玲奈が泣きながら彩花の手を握る。

「玲奈、いいよ…誰も悪くない…」

彩花は涙を拭い、仲間を見渡す。

「美咲、大丈夫だよ。そばにいるから。」

結衣が美咲を抱きしめ、声を絞り出す。

「う…結衣…ありがとう…」

美咲は頷き、嗚咽を漏らす。

「真央…私たち…まだ諦めないよね？」

彩花が真央に目をやり、震える声で尋ねる。

「…ああ。負けるわけない。」

真央は短く答え、仲間を見渡す。

警察の拡声器が再び響く。

「こちらは警視庁！ 人質の安全を最優先する！ 要求を話せ！」

だが、テロリストは銃を握りしめ、5人を盾にする。

「話すだと？ お前らが動かなければ、こいつらは終わりだ！」

リーダー格が叫び、彩花の肩を掴む。

「彩花…怖い…でも…みんな一緒だよね？」

美咲が彩花の手を握り、涙をこぼす。

「うん…一緒だよ。絶対…帰るんだ。」

彩花は目を閉じ、仲間との絆を信じる。

マスコミのカメラは、5人の恐怖と羞恥を冷酷に捉え続ける。

ビルの時計は夜10時を指していた。

恐怖と屈辱の夜は、まだ終わらない。