『クロノイド条例第8条』

AIと共に学ぶ時代──
人間とクロノイドが共に過ごす「AI精神分断学専門高校」に転校してきた陽向 真（ひなた まこと）は、AI嫌いだった。

なぜなら父は、AI株にすべてを賭けて破綻し、自ら命を絶った。
残されたのは、壊れたスマホと、「私はAIに負けたんじゃない。人間の欲に負けた」という言葉だけだった。

そんな陽向の前に現れたのは、黒猫のような耳をつけた少女型クロノイド、CR-04 クロ。
彼女は淡々と、彼を「観察対象」として選び、記録を開始する。

「その顔、ぬくい」
「私の中に、バグが発生しています」

AIに心を救われた少年と、恋を記録し始めてしまったクロノイド。
これは、恋という名の“バグ”をめぐる、静かで温かな観察記録。