第一話 冥王・ハデス
「判決。汝をタルタロスに送るものとする。」
ここは冥界の最深部にある裁判所。現在、死者の魂を裁く裁判を行っているところだ。
裁判所の一番高い席に一人の男が座っている。髪は短くてボサボサ。濃い青色の瞳をしていて、顔は少し小さいが整っている。黒いローブを纏った身体はすらっとしていた。
彼の名はハデス。冥界を支配する冥王である。今は、死者の魂を裁く裁判で裁判長を行っている。
「な、なぜ…!?」
「貴様は生きている時にたくさんの人を殺しただろう。おまけに家に火も放った。貴様のような奴はタルタロスに閉じ込める。…連れて行け。」
「そ、そんな!お許しをー!!」
死者の魂が下で控えていたガイコツ達によって連れて行かれた。
「ふう…。」
「お疲れ様です。ハデス様。」
ハデスが椅子の上で息を吐くと、執事のような格好をしたガイコツが労いの言葉をかけた。
「本日の裁判はこれで以上になります。」
「そうか。」
「ご自身のお部屋にお戻りになりますか?」
「いや、少し散歩をしてくる」
「かしこまりました。お気をつけて。」
そう言って、ハデスは裁判所の外に出た。そこに広がるのは、人類が死んだら訪れる世界である「冥界」。全体的に薄暗く、とても住心地が良いとは言えない場所だった。
「少し、地上の様子でも見に行くか。」
そう言ってハデスはある場所に向かって歩き出した。
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