壁に話しかけてはや3年

@Aaura

壁に話し続ける男

壁と話してはや三年が経過したが壁はまだ一向に私の問いには答えてくれない

「今日どこ行ってきたの?」

「好きな本は何?」

「絶対に行きたい場所は?」

これらの質問を壁にしても残念ながら帰ってくる気配がない。

そもそも壁と話し始めたのは、ほんの些細な出来事だった。

3年前親友から壁に話しかけたら返答が来たというLINEを貰い。

壁に話しかけた。

最初の1ヶ月は、壁が返事などするわけないと思いながらも、もしかしたら?という可能性を信じてダメ元で話しかけた。

確か、好きなポケモンは?

好きな本は?

軽いジャブから攻めた。

返答はない。

返答がないかまま一年が経過した。

一年が経過した時には、壁は少し汚れていた。

壁の汚れが、顔に見える。

ここが、鼻でここが目でここが口か「笑」

2年目が突入すると、壁に愛情が芽生え始めた。

どことなく、壁が女の顔に見えた。

その顔はお世辞にも美人とは言えないが、私と一年中一緒にせいか、壁が可愛く見えてくる。

2年目のトークは割と盛りたくさんの思い出を作ることができた。

私が辛い時があった時は壁はいつも相談に乗ってくれた。

その温もりは、無機質だがどことなく温かみを感じた。

そうして、あっという間に2年の月日が流れた。

そして今日2年と1日が流れた。

今日は君と会って3年目だね。

壁は少し照れ臭そうに笑っていた。

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