姫と解呪師
五十嵐凪
第1話 貴方に出会う前のお話
”呪いを解ける方募集中”
もし、そんな広告を見たらどう思うだろうか。阿呆らしい。大半の人はそう言って無視するだろう。でも、大半というのは全てではない。例外もいる。
「呪い…?へぇ」
その例外が僕だ。
その広告は最初の文以外はまともだった。日時はいつでも、場所は〇〇市〇〇町✕✕−✕、黒い屋根にベージュの壁、大きな木が特徴。時給は5000円。呪いが解けなくても払われる。
いや、まともではなかった。あまりに変わりすぎていてもうよくわからない。
「行ってみるか…」
誰に伝えるでもなく、そう言う。
***
もしかしたら。そんな淡い願いを持って一枚の紙を書く。
「どんな人が来てくれるかな?」
友達を待つごく普通の少女のようにはしゃぐ。でも、内心は違う。恐怖に満ちている。
誰か気づいて。私を助けて。心の奥で助けを待っている。無理だとわかっていても、無理だと思い込ませていても求めてしまう。特別な存在じゃなくていい。白馬の王子様みたいではなく、ただの花売りのような。普通じゃない、私と同類の人。頑固な私を納得させてくれるような人。
怖がりな私を、この城から連れ出してくれる。そんな人。
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