ジークアクス空想戦史

カズサノスケ

兵站

ゲルググ量産にみるMS整備と兵站 前編

 ファースト以来のファンの中には、けしからん、とする人もいるらしいゲルググ問題。※詳しくは触れないが、そういうものがある様だ。


 ここでは、そういった処からは論じない。軍の判断としてどうか?その観点のみでゲルググを評価してみたい。


 結論から言えば――

 

 量産すべきではなかった。整備性と兵站面で致命的な欠点があるから。


 劇中で描かれた戦闘シーンを観れば確かに強そうだ。駆動系の稼働効率を上げればガンダムとも渡り合えるポテンシャル。


 だが、MSは強さのみが大事ではない。いかに強さを維持するか、という点も見逃せない。以下、説明したいと思う。


 ※以下、ややこしさを回避するべく、ヴィジュアル面を重視してこの様に表記する。


 劇中のゲルググ=新ジム

 本来のゲルググ=ゲルググ


 以降、ゲルググは本来の開発機、新ジムは劇中で登場した機体を指す。



 ■MSは兵器


 まず、戦争に使う兵器である事を抑えておきたい。MS性能を示す基準としてよく挙げられるのが以下の点だ。・機動性 速度や回避に関わる能力。・耐弾性 被弾した際の防御面。・火力 装備する武器の威力。


 こういった目立つ性能と併せて、忘れがちな性能に着目したい。それは、整備性だ。


 ▼整備性


 戦場に投入するのだから、よく壊れる。それが兵器の実情。


 いかに高性能でも動けなければただの鉄クズ。現場で速やかに修理できなければとても役に立たない。


 ■ゲルググの整備面


 ゲルググの性能は装甲を除けばガンダムに匹敵する、とされている。そして、整備面においても実に優れていた。


 ▼ザクⅡとの互換性


 開戦初期の主力MSザクⅡを開発したジオニック社(軍事メーカー)が本機も開発。


【補足】


 推力部はそれを得意とするツィマット社。主兵装の一つ、ビームライフルはモビルアーマー開発を主にやってきたIMP社。ゲルググ本体は最大手のジオニック社という3社合同。


 ・ザクⅡの生産ラインで製造可能。


 ・一部ザクⅡと共通の部品を仕様。


 上記により、例えばこの様な利便性がある。・破損したザクⅡを解体、ゲルググの部品に転用出来る。・大量生産で部品の製造コストを抑えられる(備品不足の予防)。


 ▼整備士(メカニック要員)の負担軽減


 補修する場所は基地か艦船内のMSデッキと呼ばれる格納施設。当然ながらメカニックには必要な分だけ補修資材を発注し在庫管理する業務が生じる。


 特に艦船の場合。物資の積載スペースに相当な制限がある為、共通備品である事の恩恵が特に大きい。


 仮に、標準的なムサイ級巡洋艦(最大6機搭載)にMS部隊を配備した場合で考えてみよう。


 ・ザクⅡ3機とゲルググ3機それぞれの部品も必要だが、共用出来る物も多い。ストックが無駄になり辛く、積載スペースの負担軽減化。


 以下のケースは、メカニックにとって大きな負担となる。


 ・ザクⅡ3機とリックドム3機 リックドムはツィマット社製。ザクⅡとは共通しない部品が多く、 積載スペースを圧迫。





後編へ続く――

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