第6話 ベタベタな展開。

 何故か俺は今は白狼の寝床にいる。



 つまり、白狼にお持ち帰りされた訳だ。



 あれから白狼に状況を相談したところ、白狼は『ならば儂のところでのんびりしながら、これからの事をじっくり考えれば良い』と招待してくれた。



 あのまま白狼と別れる事は死を意味する事なので俺に拒否権は無く、そのまま白狼が住む場所に連れて来られた訳だ。



 白狼が住む場所は岩山にポッカリ空いた洞窟の中で洞窟は幾つもの部屋に別れていて寝床と思われる部屋には乾燥した草や毛足の長い獣の毛皮が敷いてあった。



 それよりも少し気になった事がある。



「なぁ、さっきオマエは一族って言ってたけど他の奴等は?」



『おらぬ。』



 少し寂しげに短く白狼が答えた。

 何か地雷を踏んだかな?と思ったが、時既に遅く、白狼は話を続けた。



『一族の者はミンナ……ミンナ儂を残して死んでしもうた……残ったのは儂だけじゃ……』



 目の前でデカイ狼が小さな声で身体を震わせながらの独白を俺はただ黙って聞いた。



『何故かミンナ、儂の作った飯を美味そうに喰っておったのに次の日にはミンナ死んでおったのじゃ!!』

「オマエが原因かよっ!」


『あ、主、腹は減っておらぬか?

久々の客人じゃもてなすぞ?』

「その流れで喰えねーよっ!」



 まだ、目の前に居る白狼の事はよく解らないが、コイツの作った飯は喰っちゃいけないって事だけはよく解った。







 目の前に並べられたのは沢山の木の実。

 もちろん、ナナでもないし、無調理だ。

 獣の肉もあるのだが、目の前の白狼が何らかの手を加えてると思うと迂闊に手が出せない。



『なんじゃ、木の実だけで良いのか?肉もあるぞ?』



 目の前の白狼は不思議そうにしていたが、肉より俺は我が身の方が大事なので遠慮させて貰った。



『草食系か……』



 ボソリと聞き捨てならない事が聞こえた気もしたが、それよりも今は目の前に置かれた色とりどりの不思議な木の実だ。



『さて、喰うかの。』



 白狼がそう呟いた途端、白狼を白い光が包み、直視出来ないくらいに強烈な光を放った。





「もう良いぞ。」



 さっきまで頭に直接響いていた声より高めの声が直接耳に届く。

 そして、目の前には全裸の少女がペタンと俗に言う女の子座りで座っていた。





 ……はっ!

 俺は一旦フリーズした思考を素早く再起動させて目の前の少女に尋ねる。



「誰…?」



「白狼じゃ。」



「……マジですか……?」



「……?……何かよう解らんがマジじゃ。」





 何だろう……このベタベタな異世界ものにありがちな展開は……

 などと思いながらも、クールを装い目の前に座る全裸の少女をガン見する俺だった。

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