第19話 本物の『恋愛イチャイチャキングダム』の世界より、本物の世界
俺は、ハッキリ言うと器用だ。
エリスに教えて貰った、弓矢以外も、普通に剣も使いこなすし、槍とかも普通に使える。
これは、完全に母さんの血筋の力らしい。
サヤの話によると、母さんの血筋は、人の真似するのが得意な血筋ばかりを掛け合わせて出来た血筋なのだとか。
母さん側の血筋で、今迄、出現したスキルは、『転写』『人真似』『器用』『スキル複写』『器用貧乏』『複製』『プリント』などなど。
因みに、母さんも『転写』スキルを持っており、現在は、本の複写の内職仕事をしてたりしている。
母さんの場合、見た物を、そのまま紙とか好きな物に転写できるスキル。そのまんま写真機みたいな事が出来てしまうという訳である。
そのものを忠実に見て、そのままを写し出す能力は、人の本質を見抜く能力とも重なり、母さんは、妙に人を見る能力が優れてる。
なので、遺伝なのか、俺は人真似をするのが、妙に上手かったりする。
直感的な、エリスの弓矢の説明も、見ただけで何となく出来てしまったし、エリスの遠視能力も、エリスの眼球の動きを見ていたら、俺なりにコピーしちゃってるしね。
多分だが、俺が母さんの血筋から得るスキルは、『器用貧乏』か、なんかだと思われる。
まあ、サヤも、確率的に『器用貧乏』を得るだろうと言ってるので、間違いないだろう。
因みに、俺はハイエルフの血を受け継いでるので、肉体もハイスペック。
それでいて器用という事は、普通の人間に換算すると、所謂、何をしても達人になるという事なのであった。
もう、格好良くて、器用で、何をやっても達人級って、どんだけスーパーな人間なんだよ! て、感じ。
それが、サヤが何代も血を掛け合わせて、用意して作った俺の体なのである。
しかも、顔も良いし、瞬間移動スキルまで持ってたら、『どんだけ超人なんだよ!』て、感じなのに、今の状態は、カレンに完全に舐められて、雑魚ゴブリン扱い。
因みに、もう、カレンの事を、カレン様なんて呼ばないから。醜悪なゴブリンとか言われた時点で、俺の中では敵認定。
取り敢えず、カレンにギャフンと言わせるまでは、歳上でもタメ口で十分だと思ってるし。
まあ、ギャフンと言わせたら、普通に接してやっても良いけど、兎に角、カレンに俺を認めさせるイベントが必要なのである。
「なるほど、これは中々、難しいミッションですよ!
マスターが、ざまぁ!して、復讐しないといけないカレンさんは、現在、マスターを、まるで醜悪なゴブリンを見るような顔をして嫌ってますからね……」
そう、今の俺はカレンに嫌われていて近付く事さえできないのだ。
近付くと、ゴブリン臭がすると言われるので、俺自身が猛烈に消臭に気を使ってるし。
「なんで、俺はそんなにカレンに嫌われてるんだよ?!」
「それは、弱いからですね、イーグル辺境伯家の血筋は、家柄より強さと甲斐だけを求めますからね。
そもそも弱い男は、人間と見られないですから!」
「大貴族なのに、どんな家柄だよ」
「因みに、カレンの叔母に当たる『熊の鉄槌』の団長エリザベス・グリズリーは、強いという理由だけで、元平民であった大戦の英雄エドソン・グラスホッパーと結婚してます」
ここで、最新鋭AIサヤのプチ情報
「確か、エリザベス・グリズリーって、公爵の娘だろ? イーグル辺境伯の血筋の奴って、家柄とか全く気にしないのかよ?」
「強さは家柄を凌駕すると、イーグル辺境伯を筆頭に、みんな信じてますからね」
「何それ?」
「兎に角、そういう血筋なんです!」
「それで、俺は、カレンに負けた事により、ゴブリンレベルの男と、カレンの中で評価が決まったという訳か……」
「ですね!この評価を覆すのは、並大抵の努力じゃ無理ですよ!
そもそも本物の達人は、木刀構えてなくても強いですからね!」
サヤが、達人について力説する。
「8歳の子供にそれを言う……」
「実際、剣術に関しては、カレン・イーグルは、マスターより完全に格上です。
『恋愛イチャイチャキングダム』によると、カレン・イーグルは、剣鬼の称号を持つ凄腕剣士ですから!
しかも、剣術Lv.2、火魔法Lv.2 ユニークスキル: 身体強化Lv.3 素早さLv.1を持つ化物ですから、伊達に代々強い遺伝子の血だけを受け入れてませんからね!」
「でも、それは『恋愛イチャイチャキングダム』の中の話で、この世界はサヤが作った偽物だろ?」
「ノンノン。この世界はマスターというモブ以外が登場する以外は、全て忠実に再現してますから!
まあ、少し違う所といえば、無理矢理マスターの体を作る為に歴史を変えちゃてますが、それ以外は完璧に再現してます!」
「『恋愛イチャイチャキングダム』は、乙女ゲームなのに、歴史って……」
「兎に角、私は頑張って、マスターの体を完璧に作って、乙女ゲーム『恋愛イチャイチャキングダム』の悪役令嬢モノのモブ無双モノを作り上げたんですから!
後の仕事は、全てマスターの自由! 張り切ってモブ無双して下さい!」
「でも、序盤でいきなり本物の無双女に、コテンパンにされてるんだけどな……」
「カレン・イーグルは、『恋愛イチャイチャキングダム』の中では、カララム王国学園の剣術大会に出てくる、ただの剣術が物凄く強い先輩という設定で出てきますけど、『恋愛イチャイチャキングダム』のカレン・イーグルの設定を見てみると、先程の設定が出てきて、とんでもなく強いんですよ!」
「なるほど、俺の体は、この世界の神でもあるサヤが作った神チートの体だけど、カレンの場合は、代々のイーグル辺境伯家が強さを求めて作りあげた天然物のチートという訳だな」
「ですです野生のチートは、実はとんでもなく強いですよ!」
「確かに、あれは狂犬だよな……試合開始の前に、俺なんか頭カチ割られたんだからな。普通貴族の試合で、試合前に対戦相手の頭を、躊躇なくカチ割らんだろ? しかも、カレンは女なのに、どんだけ凶暴なんだよ……」
「なにせ、天然物のチートですからね。しかも、『恋愛イチャイチャキングダム』では、それほどで出てこないのに、設定上滅茶苦茶強いんです。因みに、イーグル辺境伯の設定も密かに決まってて、これもとんでもない事になってます!」
「なんで、本編にあまり出てこないモブが、みんなそんなに強いんだよ!」
「それは、乙女ゲーム『恋愛イチャイチャキングダム』の制作陣の趣味じゃないですか?意味ない所で頑張っちゃうような。
そして、悪役令嬢であり、ラスボスである公爵令嬢カトリーヌ・グリズリーも、全く戦いませんが、とんでもなく強い設定になってます!」
「オイオイ。グリズリー公爵家って、イーグル辺境伯の血が入ってるんだよな……」
「そうでした! イーグル辺境伯の妹が、確かグリズリー公爵家に嫁に行って、その娘が、エリスさんの親友の『熊の鉄槌』の元団長エリザベスさんでした!
そして、エリザベスさんの兄の娘が、『恋愛イチャイチャキングダム』の栄えある悪役令嬢カトリーヌ・グリズリーさんでした!」
「『恋愛イチャイチャキングダム』の制作陣は、そんな細かい所まで考えて、ゲームを作ってたのかよ!」
「多分、後付けだと思いますけど、世界観とか設定とか書いてるうちに楽しくなっちゃったんですね!
それで、ヤバい本編であまり活躍しないモブが、たくさん生まれてしまったと!」
「その、後付けの制作陣が楽しんで書いてたのを、最新鋭AIのサヤは、完璧に表現しちゃったと!」
「ですです!私は最新鋭AIなので、細かい所も完璧に再現しちゃったのです!
それが、例え、本編にあまり関係無かったとしても!」
「それで、俺のモブ無双が、一番最初でくじかれてたら、目も当てられないじゃねーかよ!
俺、あの生意気女に、醜悪ゴブリン野郎って言われてるんだぞ!」
「だから、その辺の所はちゃんと考えて、今、エリスちゃんを使って、イベント発注出してますから!」
「で、どんねイベント考えてるんだよ?」
「今頃、エリスちゃんが、カレンさんに提案しに行ってると思いますよ!
まあ、楽しみに待ってて下さい! この最新鋭AIサヤが考え付いた完璧なシナリオで、絶対に、マスターに、最高ざまぁ!を捧げてあげますから!」
と、既にサヤは、俺の父親が暗殺されてしまうというミスを犯してる時点で、一抹の不安を覚えるが、
一応、この世界の神であるサヤ改め、女神ナルナー様が言い切った。
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