拝啓、いつかの君へ。

ひゅーが ☆ぬこ

プロローグ 君に問う

 これは、何億回目の地球の、過去と今を結ぶ郵便局で働く、人ならざる何かのお話っす。

 誰も知らない世界の裏の、時間と記憶の物語っす。

 興味深いっすよね。

 ………エハハっ、やっぱそうっすよね。

 じゃあ、見る他ないじゃないっすか。

 こんな話、普通見れないんすから。

 だって、誰もが目を背けるから。

 誰もが隠蔽してきたから。


 ………記憶と時間ってのは案外密接じゃないかと思うんすよね。

 記憶があるから過去の存在が立証できるんすよ。

 だからおいらは……。

 ……まあ、そんな話、今はいいっす。

 人間以外の何かが営む不思議な不思議な郵便局の物語。

 信じてても信じてなくても、おいらにはどうでもいいんすけど。

 でも、見てみないことには、信じるも信じないも何も言えないっすよ。

 だって、そうっすよね?

 ………エハハっ、そう、そうなんすよ。


 人間にとっては、違うとしても。


 ………え?まず、お前は誰かって?

 エッハハっ!そんなの、今言ったら面白くねぇじゃねーっすか!

 まあそのうち分かる………かもしれねぇっすね。エハハ!

 にしても、奇特なもんすねぇ。

 大抵おいらに構う奴なんていねぇっすよ。

 あぁ、まあ。格好とかは怪しいかもしれねえっすけど。

 でもそれ以上に人間はおいらの持つ物語に興味を持つっすからねー。


 それが何故か?単純明快な話っすよ。

 それが『理由』になるからっす。

 それが見えないものを肯定する何かになり得るものであり、そしてそれを知ったのなら、世界で数少ない真相に迫った者になるからっす。

 そしてそれを否定することで、『数少ない真相に迫った者』は『人間にとっての英雄』となる。


 人間ってのは不思議なもんで、目に見えるものしか信じようとしないんす。

 でも、それなのに心を信じようとする。

 エハハっ、急になんだって?

 人間は目に見えないから幽霊を信じず、目に見えるから科学を信じる。

 ………………いやぁ、おいらには理解できないっすね。

 絆なんていう曖昧なもんを信じるんなら、科学だのなんだのを遥かに超えた何かがいても、いいじゃねぇっすか。

 ………まあ、人間的にそうはいかないんでしょうけど。


 ………………おっと、失礼したっすね。

 話が逸れちまったっす。

 人間ってのは時間がないんすもんね。

 いやぁ、本当に、失礼、失礼。


 まあ、そんなのはどうでもいいんすよ、おいらには。


 おいらが見てほしいものは、ほら、そこにある。

 人間よりも、遥かに長い、幾星霜を生きる神と、記憶を辿る未知の人型が営む………。

 そう。


 『時を超える郵便局』に関する者達を取り巻くこと、なんすから。

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