白花銀狼譚

浅里絋太

序章

序章 1

 夜久爾やくにの地を、浸すは瘴気。


 山河を呪い、人を病ませ、獣を狂わす。


 果てに生ずるは、『瘴魔しょうま』。


 夜に闇に忍びて、血肉を無尽と貪らん。


 かような瘴魔を、狩る者どもあり。



 ――銀狼衆ぎんろうしゅう



 で立ちは一様にして、暗緑の衣。


 得物は多様にして、刃の血の乾くことなし。


 掟は厳格にして、反逆は死で贖う他なし。


 白花の神々とて、目を背く闇の獣。


 三年給を大義とす、金づくの外道ども。



 瘴気の薄墨、重ねたなびく夜に。


 魔の呻き、百里を震わす夜に。


 聞くがいい、狼どもの夜行を。


 その眼差しの先に、何を視るか。


 白花を踏みしだき、深き森を征く。

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