第3話 アイクとコミュニティ
アイクはゾーンAのヨーという地域で暮らした。
アイクは優しかった。
忙しい隣の家の子供達と一緒に遊んだ。
町内会会議で何も案がでないときは、いつも最初に何か言った。
アイクは賢かった。
夏には窓を少しだけ開けて、その隙間からくる風をおでこにあてた。他は汗だくだった。
テレビの防災番組を見かけて、非常用の水と食料を備蓄するようになった。殆どアルファ米の五目ごはんと飴だった。
アイクはおっちょこちょいだった。
時々、家の扉を開け損ねてそのままおでこから扉にぶつかった。何事もなかったように開け直すが、いつもほんの少し目尻に水滴が溜まっていた。
たまにエコバックを家に忘れて、5円払ってレジ袋を買った。生鮮食品用にロールで置いてある無料の袋に無理矢理詰めて、肩身狭そうに帰ったこともあった。
アイクはよく笑った。
隣の家のお婆さんと他愛もない話しで笑った。
笑うとえくぼができた。
アイクはトマトが嫌いと言った。
ブロッコリーも苦手で、ゴーヤは進んでは食べなかった。
コーヒーにはミルクと、角砂糖3個を決まって入れていた。
要するに、アイクは「いい奴」だった。
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