FXに夢と希望を託した男の話!(第2部)

オーストリッチマン

第1話 トランプ大統領誕生

 今日から2025年か。『笑ってはいけない』がないと、どうも新年を迎えた気がしないな。

 去年は165万円のマイナスで終わったから、今年は何としても取り戻す。そして、プラスに持って行くぞぉ!


 しかし、気合とは裏腹に上手く行かず成果が出ない。

 そこで、手法を見直すことにした――。


 試行錯誤すること2週間、『これだ』と思うような手法に辿り着けず悩む日々が続く。

 そんな俺を横目に時だけが過ぎる。


 ――そして2025年1月21日、ついにこの日がやって来た!


 この日が何なのかというと、それはトランプが第47代アメリカ大統領に就任する日だ。

 このことにより、世界中のトレーダーが阿鼻叫喚するに違いない。


 ――なぜそのようなことが言えるのか?


 そんなものは簡単だ。それは俺がトランプの1期目を経験したからだ!

 トランプがSNSで何か呟くたびに、レートがぶっ飛ぶ。だから、テクニカル分析が全く通用しない。


 相場がめちゃくちゃになるので、『トランプよ、頼むから早く寝てくれ』、『トランプ、まだ起きてこないで』と言った声が多かったのは記憶に新しい。

 たぶんだが、2期目の今回も同じことが起こるだろう。


 案の定、トランプの呟きで相場が荒れた。

 そのせいで、突発的な乱高下に巻き込まれ爆損……。


(やっぱり、こうなったか。ボラが激しくなるのは良いんだが……激し過ぎる)


 もちろん、マイナスポジが一瞬でプラスになることもある。だから、一長一短だな。と言いたいが、どう考えてもマイナス面の方が大きい。


(これが4年も続くのか……)


 突発的な要人発言で相場が荒らされる危険があるので、俺はスキャよりのデイトレで攻めることにした。

 とてもじゃないが、俺のノミの心臓ではスイングは無理だ。


 トレードスタイルは決めたものの、いまだに手法が定まっていない。

 そこで俺は、思い切った行動に出る。


(いっそのこと、インジケーターを全て消そう)


 インジケーターを全て削除し、水平線とトレンドラインのみで勝負することにした。


(おお、チャートがスゲェ見やすい。やっぱ、今までがごちゃごちゃし過ぎていたのか……)


 水平線付近、もしくはトレンドライン付近にローソク足が接近すると、反転狙いのポジを取る。

 このやり方は上手く行くこともあったが、ブレイクされたときにガッツリやられ爆損で終わることが多かった。

 そこで、移動平均線だけを表示することにした。


 数あるインジケーターの中から移動平均線を選んだ理由は、傾きでトレンドの強さが把握しやすいからだ。

 それに、多くのトレーダーが使用しているってのもある。


(よっしゃー! これからが本番だぜ)


 チャートを眺めること数十分、ようやくローソク足が水平線付近に上がって来た。

 以前までの俺ならここで反転狙いのポジを持っただろう。


 ――だが、今回の俺は違う。


 水平線タッチで入っては勝てないのを知ったからだ。

 俺は移動平均線が下を向くのを待ち、『ここだ!』と思った場所でポジションを持つ。

 

(下がってくれよぉ)


 数分後、狙い通り下がり10銭ゲット。


(よしよし、これを繰り返そう)


 公言通り、この手法を繰り返す。

 この手法は勝率が良かったのだが……ブレイクされた時の損失がデカくリスクリワードが悪すぎた。

 そのため、思うように利益を得ることが出来なかった。


(う〜ん、やっぱこの手法はダメなのか?)


 俺は自問自答しながら、トレードを続ける。

 しかし、一向に成果を得られない。


 何の成果も得られないまま、無情にも時間だけが過ぎ去っていった。これに痺れを切らした俺は、ハイレバでのトレードを決意する!


(ハイレバやるなら、リスクが少ない方がいいな)


 そこで選んだのは、10銭幅のレンジで何往復も上下しているレンジ相場。

 レンジ上限のところにレートが来るとすかさずショート。


「はい、1万ゲット!」


 利確から数分後、レンジの下限にレートが来る。

 すかさず今度はロング。


「はい1万ゲット!」


 立て続けに上手く行き俺は調子に乗る。


(これを繰り返せば、10万くらい稼げるんじゃ?)


 だが、レンジ相場は永久に続くわけがない。

 つまり、終わりが来るってことだ。

 よって、レンジブレイクされたときに今までの利益を持って行かれることになる。


(やっぱ、これだけで勝つのは無理か……)


 再び俺は、迷走することになる。

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