雨季
凜鷹
濃霧
曇ってよく見えない。
私は何をしたくて今ここにいるんだろう。私は何をしたくて今日まで生きてきたんだろう。漠然とした不安に近い虚無感が私を襲う。
そうそれはまるで唐突に濃霧に囲まれたかのように。
幼い頃、私はきっと輝いていた。少なくとも当時の私にはその自覚はなかったのだろうが。しかし光るものに嫉むものがいるのは世の常で、何かにつけて私の夢や希望を否定する人は多かった。担任でさえ肯定的でなかったのは鮮明に覚えている。彼らは私ではないのに、私が夢を諦めるべきだと主張するのだ。これまでの私を生きていない割には、彼ら自身は主張に正当性があり自分は間違っていないという根拠に乏しい自信があったのだろう。
傷というものは痛みが引いた後も残るもので、歳を重ねた私には傷跡がたくさんあった。数えれば「キリ」がないほどに。これまで何回刺されてきたかすらわからないし、痛みに慣れたわけではないけれど「またか」という感情が出てくるようになった。所詮彼らにとって私はただの玩具であり、人としての対象ではなかったのだ。それに気づくのにそう時間はかからなかった。
社会は腐敗していて、それは学校という小さな社会でも例外はなかった。巻き込まれたくないがためにいじめを見て見ぬフリをし、毎期行われるいじめアンケートでは素晴らしい面の皮で問題なしと判定される。教員はいじめはいじめを受けている側がいじめだと主張すればいじめになると声をあげるが、結局はそれもフリで声をあげようとも揉み消されるのが常だ。
私は疲れた。他にどう変換もできない。ただただ疲れた。この世界に、ここまで生きた私に、何もしない担任に、放任主義な両親に。幾度となく自殺を考え、自ら思い止まり。配られるクリアファイルの電話番号のやつらは自尊心を満たしたいだけのエゴですらない野次馬だ。今日まで私はいざとなれば死ねば解決するという放棄的思考の基生きてきた。だから嫌いなやつがいても殺そうとは思わなかった。自殺の苦しみよりも殺害の後始末の方が面倒ではないかと常々思う。
世の中は不公平で不条理で、混沌でありながら秩序を構成しようとして中途半端な規則ができ苦しんでいる。時間だけが平等だとはよく言ったもので、悲しいかなその与えられた時間が苦痛の人間もいるということに気づかない輩ばかりだ。どうして他人の都合も考慮できない人が自身の都合がまかり通るとでも思っているのか。馬鹿馬鹿しい。やっぱり死んだほうがマシだ。
雨季 凜鷹 @ritoca
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