不思議なつながり

次の日の朝、俺は来るはずがないと思いながら、もしかしたらと思い昨夜の彼女達を待っていた。


「朝って言っていたが細かな時間は言っていなかったな。」


自分自身の無計画さに少し嫌気を感じながら時刻を確認する。

午前6時45分、流石に早すぎるかと思い中に戻ろうとして扉を開けた瞬間


「まって」


昨日の彼女たちが塀の上から姿を現した。


「覚えてたか」

「何?」

「いや、ただの独り言だ」


どうやら彼女たちは俺のことを覚えていたらしい。

何故という疑問が頭の中を埋め尽くすが今は角に置いておこう。

彼女たちは中で話したいということだったので少し警戒しながら中へ入れる。


「で、お前たちは結局俺に何をするんだ」

「昨日の事を誰にも口外しないように監視する」

「...。」


どうやら彼女らの頭はよほどぶっ飛んでいるらしい。

いくつかの疑問が浮かんだので問いかけてみる。


「学校はどうするんだ」

「元からほとんど行ってない」

「全員か」

「肯定する」


なるほど、確かに全員が不登校もしくは近い状態なら監視もできるだろう。

だが俺はよく昨日の事を思い返して見るとほとんど彼女たちが何をしていたかわからない。

だから昨日の事と関係があると踏んで話をする。


「もしかしてだが、お前たちが学校に行ってないことに関して昨日の夜のことに関係するのか」

「っっ、あなたに対して教える必要性を感じない」


今の反応を見るに昨日の事とは何らかの関係があるのだろう、だから少し煽りを入れてみる。

これで反応があればと期待しながら。


「おいおい、昨日の事に関しては俺はほとんど知らないのにこの仕打ちかよ。よほど知られたくないんだな、お前たちの行っているのは立派な精神的脅迫だぞ。もしかしてほとんど学校にも行ってないからそんな一般的知識も欠落してるのか」

「か...関係ないことを言うの自由だけだけどこれ以上何か変なことを言うのなら安全保障できない」


少しの煽りで良い反応を返してくれたのでこれ以上の詮索や煽りはやめておこう。

後気づいていないのかまた脅迫まがいのことをしている、どれほど学習能力がないのだろうか。


「分かった、口外はしない。だが監視は此処以外ののところでやってくれ」


彼女たちは数秒顔を合わせそして。


「交渉成立、ただ夜此処を使わせて欲しい」

「ああ、もう良いよ」


交渉成立とか言っていたがほとんど脅迫まがいなのは気づいているのだろうか。

そもそも話を口外したとしても誰も覚えていれないから関係ないのだが。


「じゃあ話も終わったからお前たちは帰るんだよな」

「「「「「?」」」」」


なんでそこで全員?なんだよ、用事は済んだろうが。

他に理由でもあるのか。


「学校は」

「学校行きたくない」

「なら家に帰れ」

「家も嫌だ」

「なんでだよ」

「言えない」

「5人とも同じ理由か」

「黙秘権を行使する」


この反応は同じなのだろう。めんどくさいことになったなと思いながら俺は上を向く。

今日は午後から市が行っているホームレスへの炊き出しの日だったはずだ。

普通に行こうと思っていたが彼女達はついて来るだろう。

めんどくさいことになるのは火を見るより明らかだ。

どうしたものか...


「おそらくこれからお世話なる、だから自己紹介をさせて欲しい」


おいおい、もっと面倒な事になりそうな事を言い出し始めたぞこいつら。


「まて、俺は世話をする気はない、そもそも学生に毛が生えた程度のホームレスに世話になるな」


彼女たちが正常な判断ができているのかとても心配だ。

今みたいに言うのは駄目な大人がよってくるからやめて欲しいものだ。

え、俺? 大丈夫、簡単に欲情できるほどバカではないから。

多分、きっと、Maybe。

馬鹿じゃないよな、そうだよな俺。


「そもそも他の場所で集まればいいじゃないか」

「それは無理。今までは他のところにいたけど親や学校にしられた、それに新しく場所を探すのがめんどくさい」


今の一言で分かってしまった。恐らく彼女達は世間でいうところのハミダシモノなのだろう。

特別な事情や環境によってはみ出してしまった者たち。だから世間は彼女たちを矯正するために探し回っているのだろう。

だからといって俺が介入する気にはなれない。なぜなら俺がやったとしても全て忘れられてしまうから。面倒事を好む趣味は残念なが持ち合わせていないし、そういうのは小説の中の主人公にでも任せて置けば良い。


「なら、俺も面倒くさいから嫌だな」

「あなたに拒否権はない」


なんでだよ、俺の拒否権は職務放棄してるのか、と言いたくなるが我慢する。

会話自体が億劫になってきた。もう全部受けれよう、ヤケクソだ。


「はぁ、もう良いよ、わかった」

「ん、それじゃぁ自己紹介する。私はノア、年齢は17」


自己紹介が始まり俺は悪態をつきながら聞き流す。


「ネラ、16よろしく」

「僕はルシア、年齢は17だよ」

「私はユノ、年は16だから。世話になるわ」

「ズサ、これからよろしく」


一通り自己紹介が終わったので俺も再度紹介する。


「俺は関 縁辞だ、年齢は19よろしく頼む」

「頼まれた」


いやそれはこっちのセリフだよ、なんてこと言いながら妙な関係ができしてまったなと感じていた。

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