第6話 仮想現実
橘は、色々と思考をしているが、所詮は素人の範疇を出ない。知的好奇心が強いのは確かであるが、情報のソースはほとんどがネット動画などであり、いまいち信憑性が低いのも事実である。本来であれば、原文の学者などが書いた、論文に目を通すのが一番であろう。しかし、橘は、入院中であり、実際に書籍を手に入れるには、面倒な状況である。そのため、退位後は、図書館に行きたいと思っていたのであった。しかし、ネット動画というのもあながちバカには出来ない。各投稿者が再生数を伸ばそうと、わかりやすく、特にビジュアル的にも力を入れており、書籍を読むより理解しやすくなっている。橘の見るチャンネルは様々である。宗教、スピリチュアル、都市伝説など。はたから見れば、ただのオカルト好きであろう。しかし、この分野では、色々と考察要素があり、楽しいと思っていた。橘の考察はいつも、統合失調症的視点である。イエス・キリストの数々の奇跡で考えてみる。キリストは、水をワインに変えたり、死んだはずの人間を生き返らせたり、物理法則を無視した数々の奇跡を起こしてきたと言われる。これが、事実か否かはわからない。しかし、この世界がいわいる仮想空間であればどうであろうか。それは、この世界の管理者がキリストに特別な権限を付与していれば可能である。例えば、ゲームのような世界をイメージするとわかりやすいであろう。もし、RPGゲームの世界であれば、仲間が死んでしまった場合でも、呪文や魔法で生き返らせることが可能である。仮想空間つまり、シミュレーションゲーム仮説である。これは、私たちのいる空間は、高度なコンピューターにより、計算された世界であるとい仮説である。もちろん、こんな、ぶっ飛んだ理論を、現代科学では証明出来ていない。統合失調症という病気は、自分よりも高次元の存在にアクセスし、認識してしまったというのが、橘の仮説である。これも、医学的なアプローチというよりも、物理学的な発想に近い。もしかしたら、釈迦やキリストといった人物たちも、現代で言えば、統合失調症だったのかもしれない。
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