この世界に祝福の音が鳴り響く。
あれから俺は、パーカッションとして使える土器をいくつか、製作した。
基本、俺ひとりで演奏する前提で、ドラムスのいわゆるタムを作ることにした。叩くとそれぞれ高・中・低の三段階の音程が出せる、3つのタムだ。
筒状に作った胴の片側の口に、なめした革を張り、ぽんぽんと叩いてみる。
……あまり、いい音ではないな。ボゥン、とタムらしい音ではあるんだが、現代のドラムスのそれとは、音の響き方や大きさが随分と貧弱だ。でもまあ、人類史上初のドラムと考えれば、そう悪くないんじゃないか。
そして数週間後、大きさを変えた3つのタムが完成した。
俺は自宅の前にそれを並べ、その前にしゃがんで軽く演奏をしてみる。
ポンポポンコ、ポンコロポポ、
ドゥンポコポポ、ドゥロンポコココ。
俺の自宅の前に広がる大草原を、軽やかなタムの音が風に乗って流れてゆく。
音を遮るものは何もない。どこまでも緩やかに、草の上をなでるように音が響く。
それは、日本にいた頃の環境なら近所迷惑だとすぐ文句を言われるような、或いはこの土地の権利者に許可とったのかと問い詰められそうな、自由奔放で爽快な演奏体験だった。スタジオで叩くドラムスも随分と楽しかったが、これはそれとは全くの別物だ。ものすごい解放感。なんだか、神に音楽を捧げる、って感覚がちょっとわかった気がする。
少し離れたところで、うさぎが草むらから顔をつき出し、音の発生源である俺をじっと見つめているのに気付いた。俺もうさぎに微笑みかけながら、ポンコポンコとタムを気ままに叩く。
良かったな、お前、地球黎明から数十億年、史上初の音楽演奏会の聴衆になったんだぞ。しっかり楽しんでってくれよ。
──────
タムが完成するまでにも2~3回、"パーティ"が開催されたが、ガバルシャはそれらで踊ることはなかった。俺には、彼がますますふさぎ込んでいるようにも見えた。俺も集落で彼を顔を合わせた時には、声をかけるようにしていたがそれにも彼は、曖昧な反応しか示さなかった。
彼が、何事かに思い悩んでいるのは明白だった。
おそらく彼が云っていた、「精霊の声」のことだろう。
俺のタムで、彼をうまくアゲることができればいいのだけど。
子供じみた思い付きでやろうとしている自分が果たして正しいかどうか、俺は少し恐れを抱いていた。
もしかすると彼は、俺の演奏を聴いて無理矢理に感情をかき乱されているように感じるかもしれない。何しろ楽器の演奏なんて、彼は(そして部族のみんなも)聞いたことがないはずなんだ。どういう反応を示すか、全くわからない。或いは、ひらがなを見たニスヤラブタのように、タムの音に恐怖心を抱くかもしれない。
それでも……俺は、"音の楽しさ"を信じている。
ニスヤラブタが、土器を叩く音を楽しいと感じたように。
そして、タムが完成してから初の、"パーティ"の夜が訪れた。
俺は、ニスヤラブタにも手伝ってもらい、それぞれ背負子にタムを載せて集落へと足を向けた。
──────
今日の宴は、今までよりも参加者が少なめだった。
そもそも宴への参加は義務ではなく、各々が好き好きで決めて構わない。特段に、ごちそうが出るとか面白い話が聞けるとかいう噂もなかったので、家で寝ることにした者が多かったんだろう。
俺とニスヤラブタは、背負子からタムを下ろす。
今日はガバルシャ、参加しているかなと少し気をもんだが、幸いにして今日の宴にも姿を現していた。少し離れた場所で腰を下ろしている彼に俺が手を振ると、彼はかろうじて頷いただけだ。
俺が目の前に並べたタムに、宴の参加者らは興味をもち、何人か集まってきた。
ガバルシャも、遠巻きながら俺のニュー発明品を見ているようだ。
これ何だ、と人々に聞かれて俺が
夜の闇の中に吸い込まれるように、タムの音が静かに鳴り響く。
俺は、それらをゆっくりと叩きながら皆の表情を観察したが、幸いにしてこの音を不快そうに感じている者はいなさそうだった。ガバルシャを見ると、俺の行為に少し興味を示しているようだ。
俺は、それまでの試し打ち状態から、ひと呼吸の休符を入れると、今度はゆっくりと頭を振りながらの演奏モードに入る。
ポン、コ、ポン……ドゥン、ポン、コ、ポン。
深呼吸をするように、ゆるやかにタムを叩く。俺の傍らに座るニスヤラブタも、俺の音に合わせてゆっくりと身体を振っていた。実は、音に乗せて身体を揺らす楽しさを、彼女には事前に教えていたんだ。瞳を閉じたまま彼女は、気持ちよさそうに頭を右に左に、ゆっくりと振る。
俺と彼女が、音に合わせて身体を揺らす様に、人々は観察しながら顔を見合わせひそひそと話していたが、やがて俺たちを真似るかのように、俺たちの動きに合わせて彼らもゆっくりと身体を揺らし始めた。
この演奏のノリとしては、レゲエサウンドだ。俺は、脳裏で浜辺のさざ波を思い描きながら、タムでそれを表現する。ごめんボブ・マーリー、一万年以上も早く、音をパクっちまった。
俺たちには、まだ歌うべき歌は無い。しかし声は出る。
うー、とかアー、とか、身体の揺れに併せて声を漏らしている者もいた。
焚火が静かに、パチパチと爆ぜる音をバックに、緩やかなタムの音が場を包む。
いつしか宴の参加者らは、みな俺の近くまで寄ってきて、タムの音に合わせて身体をゆっくりと揺らしていた。この初めての体験を、静かに楽しんでいるようだった。
俺は演奏をしながら、ガバルシャの様子を確認する。
彼は人々の輪には混ざらないものの、俺の演奏に聞き入っているようだ。音に合わせて、頭をかすかに左右に振っている。良かった、彼もこの音は、気に入ってくれたようだ。
俺は、存分に皆を音に乗せた後、簡単なフィルインを入れて演奏を終える。
ポココポンポポ、ドゥンポロポココ、ポン。
音がやむと、皆はこの不思議な体験をどう解釈すればいいのか、互いの顔を見合わせていた。よしいいぞ、最後の仕上げた。
俺はニスヤラブタに目配せをし、同時にウオオオーと声をあげながら二人でパチパチパチパチと、満面の笑顔で拍手をして見せた。
突如拍手を始めた、俺たち二人のしぐさを、彼らは不思議そうな表情で眺める。
なにしてんだお前ら、という風に。
しかし、俺たちがそれを気にせず、笑顔のままパチパチと手を叩き続け、さらに一人ひとりを見ながらそれを促すようなしぐさをしていると、この感情表現の意味が徐々にわかってきたのか、ひとり、またひとりと俺たちのように手を叩き始める。
そうさ、楽しければ、手を叩けばいいんだ。
みなで拍手することで、感動や喜びを共感できるんだ。
やがて、俺の演奏会の聴衆がみな、拍手を始めた。今宵の摩訶不思議な体験を、楽しいと感じてくれたようだ。互いに笑顔をかわしながら拍手をする。
俺は、皆の拍手を受けながら嬉しそうに、両手を挙げて応えた。
演奏会はひとまず休憩だ。
俺は、額の汗を手でぬぐいながら、ガバルシャに笑顔を向けた。
今度は、彼も俺の方をちゃんと見てくれている。音に乗る、という体験に、興味をもってくれているようだ。俺が小さく手招きをすると、彼は少し悩んだ風だったが、やがて重い腰を上げ、俺のところまで近寄ってきた。
「アダブール」
彼は、俺の傍に腰を下ろすと、俺の名を呼んだ。
俺はそれに頷きながら、タムを一つずつ叩く。
「この音、好きか?」と俺が尋ねる。
「この音、いい」と素直に答えるガバルシャ。
「これも、精霊が教えた?」
そう問うてきたガバルシャに、俺は今回のパーティでタムをお披露目するにあたり、決断していた答えを返す。
「違う、俺が考えた」
「お前が?」
「そう、皆で楽しむため」
今まで俺は、俺の発明品は全て精霊からの授かりものだ、と云い続けてきた。それを彼らが信じているから、その方がいいだろう、彼らが初めて見るものを、精霊が授けたものだと云われるならそこまで拒絶はしないだろうと思ったんだ。
でも、タムについてはそう云うのをやめることにした。
精霊の声が聞こえないと悩んでいる彼に、これも精霊からの授かりものだと云えばまた、思い悩んでしまうはずだ。それに、思い付きを形にすることは、悪いことではない、という考え方を、もっと知ってほしくなったんだ。
ガバルシャは俺の答えに、うまく考えをまとめられないようだった。
タムを見つめながら、少し眉を寄せている。
「俺、今度は、お前のため、
「おれのため?」
「そう、聞いてくれ」
俺は彼にそう云い、傍らに置いていたスティック代わりの枝を両手に持つと、タムの上にあてて深呼吸をする。
……よし、いくぞ。聞いてくれ、ガバルシャ。
ポロロロロロロロ……
先ほどとは違い、今度はミドルテンポのドラミングだ。
シャッフルを加え、頭の振りを拍子に合わせる。
手で打つのとは違う、軽いロール音が鳴り響く。
ガバルシャは、タムの音色が変化したことに少し驚いているようだ。
コン、カコンスン、カン、スカンコン。
コン、カスカコン、ドゥン、カスカコン。
俺の傍らで聞くニスヤラブダも、俺のこの演奏は初めて見る。目を丸くしながら軽快に跳ねるスティックを見つめていた。
スティックだけでなく、合間に手のひらでの打拍も加えながら、俺は徐々に音を盛り上げていく。
一度は俺たちから離れていた周囲の人々も、再び始まった俺の演奏を耳にしてまた集まってくる。彼らがこの音についてきてくれるかどうか。かなりの冒険だ。
でも、俺の目的はガバルシャをアゲること。俺はドラミングを継続しながら、ガバルシャの目を見つめていた。
なぁ、この音、楽しいだろう?
聞いていると、アガってくるだろう?
音に集中して、音に身体を載せるんだ。何も考えるな、精霊の声なんて気にするな。お前が心で感じた衝動に身体を乗せるんだ。
彼は俺からの、言葉にならないメッセージを込めた視線を受けながら、徐々に高まるビートを聞きながら、やがてその顔に苦悩を滲ませた。内心の葛藤を感じさせるその表情に、俺は一抹の不安を覚える。
ヤバい、もしかしてまだ、早すぎたか?もっとゆっくりなテンポにすべきだったか?俺の焦りが出たのか?
しかし他の聴衆は、引き続き俺のドラミングに惹きつけられているようだ。
いま止めるわけにはいかない。
俺はビートを刻みながら、静かにガバルシャを待ち続ける。彼が、この音に乗ってくれるのをひたすらに待つ。
彼は、生まれて初めて聞くビートに、戸惑いを覚えているはずだ。
この時代の人が身体で感じることができるリズムは、自分の心臓の鼓動くらいのものだ。ましてやシャッフルを聞くことはないはずだ。でも、その戸惑いを、何とか突き抜けてくれと俺は願い続ける。
やがて、ウウウ……と、彼が呻くのを聞いた。
大きく息継ぎをしながら彼は、身体の中の"衝動"が今にも心の殻を突き破らんとするのを、かろうじて押し留めているように見えた。
抑える必要なんてない。誰もお前を笑わない、俺がお前を笑わせない。
さあ、来い。踊れ、ガバルシャ。
俺は小さく、ガバルシャ、と彼の名を呼ぶ。
彼は目を見開き、俺の顔を見た。
汗だくの俺の笑顔。
また、俺はガバルシャ、と呼ぶ。リズムに合わせ、何度も呼ぶ。
ニスヤラブタも俺の真似をして、ガバルシャ、と名を呼んだ。
周囲の聴衆らも、彼の名を呼ぶ。
周りに集った人々からの、ガバルシャ、ガバルシャの呼び声を聞いて、彼は涙をひとすじ、零した。内心の深い懊悩を洗い流す清水のように、それは瞳からあふれ出て頬を伝い落ちる。
突如、ウアアアア!と、彼は叫んだ。
心の枷を解き放ち、だん!その場に立ち上がる。
アアウ、アアアアア、と彼は叫びながら、両腕を高く空に突き上げ、地団太を踏むように足を踏み鳴らす。
ついにガバルシャのダンスが始まった!
俺は、彼のステップに合わせてリズムを刻む。
彼の足踏みがバスドラムだ。
ズン、カカンコ、ズン、カカンコ、ズン、カカッカ、ズン、ポロンポ。
彼の腹の脂肪が弾む様に、リズムがシンクロする。
焚火の妖艶な光に照らされ、汗を流しながら踊る彼の姿は光り輝き、その豊かに跳ねるボディラインを魅惑的に映し出す。
彼の表情は、苦悩から解き放たれ、恍惚としたそれに変化していた。
オオウ、オオウと言葉にならない声を挙げながら、空に高くかざした手を広げ、まるで満月をその手に掴もうとしているようだ。
これまでのように、彼の踊りを囃すような、愉快なそれとして見る者はひとりもいなかった。神事の如き、真摯な祈りを彼らも見出したようだ。
周囲から、ガバルシャ、ガバルシャという掛け声が彼を包む。
まさに人類史上初のライブイベントだ。
ああ、彼の踊りに合わせて手拍子を入れたい。
そうすればもっと盛り上げるだろうに。
俺はその欲求を、ドラミングに託すしかないもどかしさを思う。
やがて彼の踊りは、最高潮に達した。
満腔の愉悦が彼を満たす。
感極まった表情で満天の星空を見上げ、アア、アア!と腕を振るわせる。
感情の昂ぶりに、もはや足がおいつかない。
ステップがもつれた彼は、ついにその場に倒れこんだ。
俺は彼が地面に倒れたのに合わせ、短めのラッシュを入れる。
ドゥポロポロポポポ、ポンポロコロポポンポ……ポポン、ポン、ポン。
地面の上に大の字で伸び、深く息継ぎをしながら、俺の演奏のフェードアウトを聞いて恍惚の表情を浮かべるガバルシャ。
俺も、アドリブのライブをうまくやり通せたことに安堵し、思わず大きなため息をついた。
演奏の終わりを悟ったニスヤラブタが、パチパチと拍手を始める。
周囲の人々も、それにつられて笑顔で拍手をする。
どうやら、音楽の楽しさを、彼らにも理解してもらえたように感じた。
そしてガバルシャにも、俺の気持ちが伝わった気がする。
─────
焚火も、随分と小さくなった。宴の終わりだ。
人々は、今日の出来事を楽し気に語らいながら家路につく。
あれから随分と落ち着いたガバルシャは、俺と向き合い座っていた。
「楽しかった」
笑顔でそう云う彼に、俺も笑顔を返す。
「今日の踊り、いちばん良かった」
「そうか、嬉しい」
「今日もお前、泣いていたか?」
俺の問いかけに、彼は笑いながら答えた。
「泣いてない、楽しかった」
「そうか、良かった」
俺たちのやり取りを、ニスヤラブタが傍らで微笑ましそうに見ている。
ガバルシャは、何事かを云おうとして少し逡巡した様子だったが、
「……おれ、精霊の声、聞こえない……」
「ああ」
「……でも、今日、踊りで、精霊の声、聞こえた気がした」
ガバルシャはそう云って微笑む。
俺は少し、驚いてみせる。
「そうか?」
「精霊、俺と踊った、気がする」
「一緒に?」
「そう、一緒に」
俺はそれを肯定も否定もせず、小さく頷く。
彼がそう感じて心が安らいだなら、それでいい。
彼は、夜空を見上げながらゆっくりと両腕を掲げる。
また、宙に浮かぶ満月を、手のひらで掴むような仕草をした。
「あの月、掴めそう」
「いつか、掴めるかも」
「ああ、きっといつか」
今から一万年後、人類は月へ行き、月面に触れる。月までの距離、約三十八万四千km。あんなにすぐ近くにありそうなのに、徒歩なら五千日以上もかかるような、遥か遠方に存在する。
それは、今の君たちには全く想像もできない、当時最高レベルの科学技術の粋を極めた乗り物に乗ることで、ようやっと達成できた夢だ。それまでは誰も、本当に月を掴むなんて出来っこない。
でも今だって、僕らは心で月に触れることができる。
月光をその身に浴び、きらきらとした憧憬を抱きながら。
静かに語らう俺たちの傍らに、誰かがそっと近づいてくるのに気付いた。
夜の闇から、ほの明るい焚火の光に照らされ現れたその姿は、ネイマーだった。
俺は、(確か彼女、ヤリ逃げ?をしたガバルシャに怒っているんじゃ……)と考え少し緊張したが、彼女の表情からは怒りの感情は読み取れなかった。ガバルシャは掲げていた腕を降ろし、真面目な顔でこちらへ近づく彼女を見上げる。
「……ガバルシャ、
踊り、とても良かった」
ガバルシャの傍で足を止めた彼女は、恨み言を云うでもなく彼のダンスを称賛した。彼女も今日の宴に参加していたのか。
その言葉を聞いて彼は、にっこりと微笑む。
「ネイマー、見ていた、嬉しい」
「……ガバルシャ、なぜ、私……」
彼を見下ろしながら彼女は、泣きそうな声でそう呟いた。
それを見た彼は、ゆっくりと立ち上がると彼女の手を取り、彼女に云って聞かせるように、一言一言を呟く。
「ネイマー、悪くない、
おれ、悪かった、
「…………」
「おれ、怖かった、狩りがへた、手伝いがへた、
……それに精霊の声、聞こえなくなった、
おれ、きっと死ぬ、そう思った」
「でも今日、アダブール、教えてくれた、
精霊の声、聞こえない、でも傍にいる、おれ達を見ている」
ネイマーは黙ったまま、静かに語るガバルシャの顔をじっとみつめていた。
彼は、彼女から視線を逸らすと、俺のタムを見下ろしながら語る。
「……精霊、呼ぶと来る、
強い祈りに、応える、そして喜ぶ、おれと一緒に、喜ぶ」
「今まで、精霊、来なかった……祈っても、来なかった
みんな、おれ、笑った、おれ、悲しかった」
「でもアダブール、笑わない、おれと一緒に、祈った、
そして今日、精霊は、来た……もう大丈夫」
ガバルシャは、安堵した表情で、彼女に微笑みかけた。
ネイマーは、少し困惑したような風に、彼に問いかける。
「ガバルシャ……私、嫌いか……」
彼はゆっくりとかぶりを振り、彼女に答える。
「ネイマー、好きだ……もっと、好きだ」
その言葉に、彼女の表情は泣き笑いで崩れ落ちる。
ガバルシャの名を何度も口にしながら、彼に寄り添う。
彼らはそのまま、身体をぴったりと、重ね合わせた。
互いの身体に腕を回し、力を込めて、ぎゅうっと抱きしめ合う。
アッ!と思った俺とニスヤラブタは互いを見合わせる。これ以上ここにいては非常にマズい、と悟った俺たちは、そそくさとタムを片付け家路につくのだった。
─────
……後日、ガバルシャはネイマーの最初の夫として、正式に家庭を築いた。
俺は彼の家庭へのお祝いとして、家事で便利ないくつかの器と、ガバルシャのダンスを描いたパピルスをプレゼントした。
彼は、来客があるたびに、そのパピルスを自慢げに見せるようだが、相変わらずそれをガバルシャだと認識する人は少ないらしい。やっぱ俺、画力については問題あるんだろうな……
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