#1 超短小説…?
こちらはただの「置き場」であるため全てが雑多になっております。ご了承ください。
#1『良い夢が続きますように』(短めストーリー版)
「今日はいい天気。風が吹いて涼しいですね。桜も満開です。
…穏やかな空気ですね。一眠りしたくなります。ねぇ、猫さん。
…眠っちゃダメ、ですか? 大丈夫ですよ、すぐには寝ません。この時間を楽しむためにここにいるのですから。
あぁ、そうでした、お茶と菓子を持ってきましたし、一緒に頂きますか。はい、猫さん。…うん、美味しいですね。
…ここの皆さんがみんな眠ってしまってから随分と長い年月が経ちました。何十年か。数百…まではいっていませんよね?猫さん。
楽しかったですよね。散る場所は様々でしたが、最後にはみんな、ここで眠りました。
…そうです。わかっていても話をさせてくれる猫さんは優しい方ですね。…僕も長い眠りに引っ張られそうになってきたんです。あと少しならここにいられると思いますが、もうすぐ消えてしまいます。
…最後のひとりである僕が消えてしまうと、この場所もこの状態のまま長くは保ちません。ですから、あなたの新しい主(あるじ)を、迎えないといけないのです、が…。
…言ってもいいんですよ、猫さん。あなただけをここに残すことになってしまうのですから。…新しい方々を迎えて、また大きくする、ですか。いえ…もちろんです。すぐにできますよ。
……猫さん。私の弱いところではありますが、独り言をこぼしてもいいでしょうか。
…本音を言うと、少し寂しいんです。
私たちだけの場所だったここが新しい方々も含めた、私たちの場所になるということもそうですし、猫さんや、先にいってしまった皆さんとしばらくの間、一緒にいられないことが。
数十年でしたか。その期間が経つまでは独りなんです。本当に誰もいないというわけではありませんが…。
…消える前にこぼせてよかっ…猫、さん…?
どう、しましたか? …涙?…気づきませんでした。
…生きているのですから、当然ですよ。この体を持った時から、少しずつ人間のようになったでしょう?
…いえ、僕は僕でよかったです。そうでなければ、猫さんともこんなに長く一緒にいられませんでしたし、そもそもここにいませんでしたから。
ふふ…ありがとうございます。僕も好きですよ、猫さん。
…あ、お昼寝ですか?それじゃあ、お隣失礼します。
…ねぇ、猫さん、次が無くなってしまうほど全て消えてしまう前に、来ていいですからね。いつでも待っていますから。
…おやすみなさい、猫さん。良い夢が続きますように。」
The end.
さかのセリフ置き場 @sakasama_ska
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