レビューの題名は次の詩から本歌取りいたしました。
解剖台の上でミシンとこうもり傘が偶然出会ったように美しい
ロートレアモン
ロートレアモンが美少年を称えるのに上の表現を用いて希有だとしようとした気持ちが、本作を読んで分かりました。
作中世界の基軸は異世界ファンタジー(作者によるジャンル登録は適切)ですが、そこに SF 設定が注入され、結末とそれが示唆するものについてもファンタジーと SF が入り交じったものになります。そして破綻はありません。
天が造る衣に縫い目は無いのだよ。そう諭す言葉を思い出しました。
天衣無縫
作中におけるファンタジーと SF の出会いは偶然であり作中にて軋轢も生じますが、人々が営むドラマとして奥深いものに仕上がっています。
どのような観点からこのような物語が形成されるのか。摩訶不思議です。
評者は作中における時の流れに身を任せるのみです。