泣き虫の告白

葵だお

泣き虫の告白

いつものように朝起きて、顔を洗い、ご飯を食べ、歯を磨き学校へと向かった。いつもの曲がり角できみが待っていた。きみと歩く足は少し軽い気がした。チャイムと同時に授業が始まり、チャイムと同時に授業が終わる、代わり映えのしない、いつも通りの1日だった。それでもそんな日々に安心している自分がいた。朝と同じで帰りもきみと帰る。何も言わなくても待ってくれてるきみを見て少し微笑む。

いつもと同じ帰り道の曲がり角が見えたとき「今日家に来ない?」そうきみが言った。僕は自分の気持ちに気づいていた。「ずっと前からきみが好きだ。」でもこの気持ちは隠さないといけない、そう思うと同時に早く伝えて楽になりたい、そんな気持ちもあった。そんな時に「来ない?」なんて聞かれたから僕は焦って何も言えず立ち止まった。きみは僕の横で返事を待っている。待っているきみを見て自分のことが、どんどん情けなくなっていく。朝も帰りも待たせているずっときみのことを待たせてしまっている。そんな自分が嫌になり涙が溢れ出して止まらない。それでもきみは待ってくれている。背中をさすり「深呼吸しよ」そう言ってくれた。数秒が経ち涙が止まった僕は「いくから待ってて」といい残し、走って自宅へ向かい荷物を置いてきみの家へ向かった。きみに向かって放った言葉はありがとうでもごめんねでもなく「好きです。」だった恥ずかしかったけど、それより早く「知ってる、僕もだよ。」と君の返事がかえってきて嬉しかった。

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泣き虫の告白 葵だお @AoiDAO

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