≠19:邂逅ぅー(あるいは、WE-ARE-MAKE-UP/だってチョットTRUEな夏じゃない)
と、気合いも新たに、珍しくも僕が意気込み、今まさに臨もうとしている、「魂バティ」の本番も本番、正にの初戦、
が、その「試合」が行われる会場内では無く、正にのその手前にて。
「……」
ゴゴゴゴゴという太めの擬音が唸りそうなほどの触発空気がいま、蔓延しつつある……ッ!! うぅん、やっぱり気圧されてしまうふぅう……
「コポハハァン? なるほど小生の『花持たせ演技』を真に受けてのそのドヤりムーヴであるのならばッ!? これまた痛々し過ぎて見るに堪えませんな、とだけ」
向こうさんもテンプレを雑に出力したような言の葉を、無駄に胸を張っている迷彩肥満体からどんどこひりだしてくる……おそらくは何も生み出さないであろう負のマウント合戦がいま正に始まりつつあるものの、そういうのをひっくるめて「実戦」でやればいいのでは? という言葉は掛けづらいままに立ち尽くすばかりの僕がいる――と、
「ゲバババババッ!! 何ならこの場で伸し伏せても構わんがばちゃ? ちゃ?」
いつの間にどこからか出したのか、百均で売ってそうなフィルム状に巻かれたものの反発力にて瞬時に
「オオゥ、いマこの場にテ手の内晒しテしまうのは得策ではなきにシもあらざらむんば
どういうバイブスがそのクローバーアフロ内に鎮座しているだろうところの大脳に影響を及ぼしているのかよく分からないテンションと言葉回しにて、原色縦縞のアシナガグモのような御仁もよく分からない格闘技の構えのようなものを取り始めるけれども……
いやな予感がする……
「……ッ!!」
悪い予感はいつだって的中するために生み出されるのでは?と疑わんばかりに、その騒音発生源との距離をいつの間にかすすと詰めていたのは、女子更衣室に向かおうとしていたポニテさんこと、猛禽脳筋ローキック射出マシン
おぁん? というような威嚇音が聴こえてきそうな凪いでいながらも絶対不埒な相手の膝下刈り取るレディへと変貌を遂げていたポニテさんが武道達人の摺り足の如く、完成された無駄の無い体重移動にて謎の三人衆への距離を詰めていくけど、暴力沙汰はまずいですってぇぇぇ……
止めたいけれども巻き添えも喰らいたくない僕の
大会が始まる前に、すべてが終わってしまう、そんな絶望に包まれつつあった、その、
刹那、だった……
「そこまでぇっ!! みんな、みなさん下がってくださいっ」
柔らかながら、凛とした女性の声が場の空気すべてを支配するかのように響き渡る。相手方からだ……見ると、けったいな格好をした三人衆の背後より、非常に背筋の伸びた良い姿勢にて場に満つる瘴気を掻き散らさんばかりに歩み出て来たのは、何色と表現したらよいか難しいけれど、土色と草色がほどよく混ざった籾殻主体の堆肥のようなもので染め上げたような非常にアーシーながら淀んだカラーの肩出しワンピースをその出るところが
そのふんわりと場を包むようでいながら、よく通る美声と後光が射しているかのような
「ええと、すみません。うちのチームの者が大変失礼をいたしまして。気合いの顕れ、でしょうか。ちょっとどうとも先走ってしまって……改めまして正式な対局の場にて、相まみえさせていただければと思う次第ですよ?」
何だろう、言葉をそのつややかな桃色の唇の上で転がしてから放ってくるような、やや含みのあるもったりとした物言いだ……そして謝罪のためにかゆっくりとその全体的になめらかな曲線を描く上体を倒した時に垣間見えた、ざっくり開いた地球色ワンピースの胸元から、非常につやめいた乳白色の山々の間に横たわる底の見えないほどに暗い暗い峡谷が僕の脳髄から言語野も痺れはせていふようれあひ……と、
「いえいえ~こちらこそ
「はいっ!! 『言の葉紡ぎ∉かえりミ隊♥』一番隊隊長、『魂バティネーム』、『ミサ』、で通しています。今日はどうぞよろしくお願いいたしますね、
おっとぉ~、それでもこの不穏場を物ともせず「ミサ」と名乗る美女性はその過剰もったりとした自己紹介と共にポニテさんの
<ミサ=スティッキングフィンガー:【KRT:2266】>
そしてそののっぴきならない場から目を完全に切らないように用心しつつ、お手元の端末で指攣りそうになりながらも相手の素性的なものを浅い呼吸のまま調べたところ、この数値。何との「2200」オーバーと来ましたか……見た目によらず、最強級だよ、いきなりこんな強チームと当たるのかぁぁあ……
「……」
と、相手の言葉に現状に、逆に冷静さを惹起させられたのか、ポニテさんの頭頂部から、ぽしゅと「戦闘氣」のような不穏な空気が上空向けて排出された。ように僕には視えた。
「ドうヤら……全力が出せソウで良かったワハァ……」
でも無かった。表情筋以浅の顔面表皮だけを蠢かせるかのような不気味な顔貌にて、整った顔のヒトがビジュアル前倒しにて、マウントというよりは
ヒィィっと慣性の法則によりその重そうな胸元双球のみをその場に残すかのような俊敏なのけぞり方を示しつつ、流石にその温和流麗な御顔を重力に逆らうかのように引き攣らせた「ミサ」さんは、同じく一気に怯えの色を見せ始めた
「イヅ、イレ込むのは悪くは無いと思うが、ほどほどの冷静さで頼むぞ。何か、あいつらには手の内もそうだが、いろいろと隠しているようなもやっとしたところを感じた。『言の葉』言ってたのもそうだし、油断は無しだ。それにあと一人がまだ姿を見せていない……いろいろと『食わせ』だぞ、あの
再びほどよい喧噪が戻りつつあった場に、今まで沈黙と不干渉を貫いていた我が方の司令塔こと斐川さんが僕らの背後から、ゆっくりと、何かを考えながらそのような落ち着き払った言葉を紡ぎ出してくる。あれだけの混沌場でいつもの即応つっこみが無かったのは、今のぐっちゃりとした戦前のやり取りからも、何らかの情報を得ようとしてたりしたんだろうか……とか思ったけれど。
「ハハハ、ヒカー女史然りだねぇ。前衛三人は御しやすいと見たけど、あの色々やわらかそうな黒髪女子は読めない。そして対局前の今でさえ意図的か無意識か分からないけれど、『童貞殺すオーラ』みたいなのを常に放っていたしね……我々男性陣は特に気をつけないと」
そしてこういう時は何かとカラんでくると思われたのに大人しかったクジラ氏も、その後ろ側からしたり顔でそう述べてくるけど。た、確かに……僕は一見であわや瞬殺の域まで寄り切られていたと言えなくもなくもない……き、気をつけよう(気をつけようも無いことだとしても)……
そして、
「ナァーハッハッ笑止ッ!! 『言の葉』が何だろうと我らの前では0.01mmほどの薄い『策』であろうことは揺るがんッ!! まま、ごくろうさんと言っておこうじゃあないか……そして大方『あともう一人』は集められなかったんじゃあないかねぇ、それで『
みとっちゃんもいつもの調子でカブせ乗っかって来るけど今のいままではミサさんの「
刹那、だった……
「……悪い、朝一で出たんだが、さっきも送ったけど、まさかりんかい線で止められるなんて」
徐々に小さくなっていっていた「ミサ」さんの背中辺りまで落とされた綺麗な黒髪が激しく跳ねたのが見えた。その右方向/エントランス側から彼女に向けて掛けられたのだろう、若い男性と思われる落ち着いた低音の良き声が、勢いよく振り返り放たれた「喜色満面」という游ゴシック体の文字をこの空間に撃ち出してくるかのような勢いの嬌声じみた声にかき消されていく……
「あっ、わっ、間に合ったんですねっ!! よかった~、もう来れないんじゃないかってずっと心配でってはわわ、出張帰りのちょっと乱れ気味髪とテカり気味顔とよれたワイシャツ感推せる……っ」
そして、すごく、すごい
すごくすごい嫌な予感がしたので、恐る恐る右視界のギリギリのところを掠るようにして横並びの
「……」
見たこともないほどに穏やかな、口元だけは上品な微笑みを呈しながらも、人中以高の表情筋が全停止しているところの、地獄に仏のような、でも実はその正体はいち獄卒が化けていたと明かされると非常に納得できるところの、負のアルカイックスマイルを一様に浮かべた、のっぴきならない感情をおそらく精神に逆巻かせたる修羅の者たちであったわけで……
ま、まずい! うちの人たちは煽り散らかされることよりも、真のリア充に己の立ち位置をブレさせられることを怒るタイプ!(多かれ少なかれ
そして遂に(やっと)遂にッ!! 予選第一試合が始まるのであった……ッ!!
どうなるッ!!(どうなるんだろう……
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