第26話 目指すは龍穴! 爆走(?)中古車と狐の荒業!?

 最終目的地『龍穴』は判明した。ルナの呪印解除の方法も、俺がその鍵を握ることも分かった。……だがしかし、俺たちには決定的に足りないものがあった。そう、立つ鳥跡を濁しまくったアパートの修繕費でもなければ、最強の敵に立ち向かう勇気でも(いや、それも足りんかもしれんが)、もっと現実的な問題――金だ!


『龍穴』は、ここからだとかなりの距離がある。電車とバスを乗り継ぐだけでも、往復の交通費はシャレにならない。しかも現地で数日過ごすとなれば、食料や装備も必要だ。俺のバイト代は、ケモミミたちの食費とリコのトンファー代(分割払い)で、すでに虫の息である。


「くそっ、どうすりゃ……」

 俺が頭を抱えていると、パソコンに向かっていたシズクが、静かに、だが力強く宣言した。

「……相川殿。資金の問題でしたら、わたくしに考えがあります。少々お時間をいただけますか?」


 そう言うと、シズクは再びキーボードに向かい、凄まじい速度でタイピングを開始した。モニターには、俺には到底理解不能な文字列やグラフが目まぐるしく表示されていく。


「ふむ、この世界の『暗号資産』なるもの、ボラティリティは高いですが、短期的な利鞘を得るには……いえ、リスクが高すぎますね」

「こちらの『クラウドソーシング』、単価は低いですが……おや? この海外からの緊急案件……高度なデータ解析とアルゴリズム構築…要求レベルは高いですが、報酬も破格。ふむ、これなら半日もあれば完了できるでしょう」

「あるいは……この大手銀行のセキュリティシステム、興味深い構造ですが、ここにバックドアが……いえいえ、倫理に反します」


 時折、物騒な独り言を呟きながら、シズクは超人的な集中力で作業を続けること数時間。

 ピタリ、と彼女の指が止まった。


「……完了しました。相川殿、あなたの口座をご確認ください」

「え?」

 言われるがまま、俺は自分のスマホでネットバンキングにログインする。そして、残高を見て目を剥いた。

「ご、ご、ごじゅうまん!?!?!? え、なんで!?」

 俺の貧弱な口座に、突如として50万円もの大金が振り込まれていたのだ!


「海外のIT企業から、緊急のデータ解析依頼を完遂しました。機密保持契約に基づき詳細は話せませんが、正当な報酬です」

 シズクは涼しい顔で言う。……お前、一体何者なんだよ、本当に!


 ともかく、これで資金問題は解決した!

「よし! これだけあれば……!」

「相川殿。効率と安全性を考慮すれば、公共交通機関よりも自動車での移動が最適かと。中古の車両を購入しましょう。残りの資金は食料や装備の購入に充てられます」

 シズクが冷静に提案する。確かに、ケモミミたちを連れて長距離を移動するなら、その方が都合がいいかもしれない。


「でも、免許が……」

 俺が言いかけると、シズクは「ご心配なく」と、どこからか一枚のカードを取り出した。……運転免許証!?

「しきぶ……むらさき……? これ、シズクの名前か?」

「ええ。わたくしのデータを、日本の運転免許データベースに正規登録しておきました。もちろん、記録上は全ての試験に合格済みです」

「(キリッ)」とした顔で、とんでもないことを言い放つシズク!


「お前ーーーーっ!!!! それ、犯罪だからな!?」

「法的な問題はクリアしています。記録上は、ですが」

 開き直るな!


 こうして、俺たちはシズクの(超法規的な)手腕によって、移動資金と免許証(ただしドライバー不在)を手に入れた。翌日、俺(免許は持ってるがペーパー歴長し)とシズクで近所の中古車販売店へ向かい、シズクの的確すぎる分析(「この年式でこの走行距離、エンジン音から判断するに…買いですね」)によって、状態の良い中古のワゴン車を手に入れることができた。


 荷物を積み込み、いよいよ『龍穴』へ向けて出発だ! アパートの前で、ワゴン車の運転席に乗り込もうとするリコ!

「わーい! 大きな乗り物! わたくしが運転しますね、主殿!」

「待て待て待て! バカ! お前運転できるわけないだろ! しかも免許証はシズクのになってんだろが! 無免許運転で捕まりたいのか!」

 俺の全力ツッコミが炸裂する!


「相川殿、ご心配なく。わたくしはこの複雑怪奇な鉄の箱を、安全に路上で操作する自信は全くありませんので」

 助手席に座ったシズクが、しれっと言う。

「じゃあ、その免許どうやって取ったんだよ!?」

「ですから、ハッキングです。データベースを少々」

「やっぱりかーーーっ!!」


 結局、運転は俺が担当することになった。シズクは助手席で超高性能カーナビ(リアルタイム交通情報解析付き)となり、リコとルナ(猫)は後部座席で遠足気分だ。


 こうして、俺たちの『龍穴』を目指す、ちょっと(かなり?)ワケアリなドライブ旅行が始まった。

 高速道路のサービスエリアでは、ご当地ソフトクリームに目を輝かせるリコとルナ。シズクはその土地の特産品や歴史について情報収集。俺は長距離運転の疲れでぐったり。


 夜は、人里離れた道の駅の駐車場などで車中泊。狭いワゴン車の中で、寝袋にくるまって眠る。…眠れるはずがない! 右隣のリコは寝返りを打つたびに俺の肩に頭を乗せてくるし(いい匂い!)、左隣のシズクは寝言で「……ルート再計算……最適解を提示……」とか言ってるし、足元ではルナ(猫)が丸くなっている。ドキドキと疲労と窮屈さで、俺の安眠は今回も叶わなかった……。


 数日間のそんな珍道中を経て、俺たちはついに目的地の山域へとたどり着いた。カーナビ(シズクナビ)の案内はここで終わり。車を降りて見上げると、そこには明らかに下界とは違う空気を纏った、深く、神秘的な山々がそびえ立っていた。


「…この先に、『龍穴』があるんだな」

 ゴクリと喉を鳴らす。いよいよ、最後の決戦の地が近い。


 俺たちは車に別れを告げ(ちゃんと隠しておかないとな)、覚悟を決めて、その神秘の森へと足を踏み入れるのだった。


(続く)


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