第21話 反撃開始! パワーアップ大作戦、始動!
重苦しい夜が明け、アパートには少しだけぎこちない、けれど確かな決意に満ちた空気が流れていた。昨夜のシズクの涙と、俺の誓い。それは、俺たちの関係を、そしてこれからの戦いへの覚悟を、新たな段階へと進めた気がする。
朝食(メニューは質素だが、気持ちは前向きだ!)の後、俺は切り出した。
「よし、皆! ちょっと集まってくれ! 緊急作戦会議だ!」
傷を押して少し顔色の悪いリコ、まだ少しだけ目元が赤い気がするシズク、そして何やら神妙な顔つきのルナ(猫)が、俺の前にちょこんと座る。
「昨日の敵……レイヴンと、あの黒装束の女。正直、めちゃくちゃ強かった。今のままじゃ、次また襲われたら正直ヤバいと思う」
俺の言葉に、皆がこくりと頷く。
「シズク、昨日の敵について、もう一度詳しく教えてくれるか?」
シズクは頷くと、いつもの冷静さを取り戻した(ように見える)口調で分析結果を述べた。
「レイヴンは高い戦闘技術と闇属性の魔力、そして影への潜行能力。黒装束の女は、素早い動きと、おそらく精神攻撃に特化した術の使い手。二人とも『牙』級の中でも上位の実力者でしょう。特に、二人の連携攻撃は脅威です」
「わたくしの攻撃が、もっと威力があれば……レイヴンを止められたかもしれません……!」
リコが悔しそうに唇を噛む。
「わたくしも……精神攻撃への耐性が低すぎました。防御と支援に徹するべきでしたのに……」
シズクも俯く。
「いや、お前たちのせいじゃない! 俺がもっとしっかりしてれば……」と言いかけて、俺は言葉を飲み込んだ。今は落ち込んでいる場合じゃない。前を向くんだ!
「分かった。じゃあ、どうすればあいつらに対抗できるか、考えよう! パワーアップ大作戦だ!」
俺がそう言うと、リコとシズクの目に強い光が宿った。
「はい! わたくしは、もっともっと強くなります! 敵の攻撃を弾き返し、一撃で仕留められるような力が欲しいです!」
リコが力強く宣言。
「わたくしは、二度と仲間を危険に晒さないための、より強力な防御術と、敵の精神攻撃を跳ね返す心の強さが必要です。そして、リコ殿を的確にサポートできる支援能力も」
シズクも静かに、だが固い決意を込めて言った。
「よし! 具体的にどうするか、考えよう!」
まずはリコのパワーアップ計画だ。
「リコ殿の身体能力を最大限に活かすなら、リーチを補い、打撃力を増強する近接武器が有効かと。可能であれば、魔力を込められる性質を持つ素材が理想ですが…」
と シズク。
「異世界の素材なんて無理だろ……」
「そうだ! 俺がバイト代で何か買ってやるよ!」
俺は諦めかけたが、思い直して提案した。前向きに考えるしかねぇ。ケモミミたちを養うため、さらにバイトを増やして稼ぐしかない!
「リコの戦い方なら……トンファーなんてどうだ? 攻防一体で扱いやすいし、リコのスピードも活かせるんじゃないか?」
「トンファー……? かっこいい響きです!」
リコは目を輝かせた。よし、決定! 俺は早速、ネットで頑丈そうなトレーニング用トンファーを探し始めた。(もちろん、支払い方法は分割で!)
さらに、リコは「主殿! 新しい必殺技の名前、一緒に考えてください!」と、俺との秘密特訓に新たな目標を加えた。
次にシズクのパワーアップ計画。
「精神攻撃への対策は…まず、心の安定が第一かと。相川殿、もしよろしければ、わたくしの瞑想訓練に付き合っていただけませんか? あなたのそばにいると、不思議と心が落ち着くのです」
「えっ!? お、おう、いいぞ!」
まさかの申し出にドキドキしながらも快諾! シズクの精神修行(という名の健太とのまったりタイム?)が決定。
「そして新たな術ですが……この神社で頂いたお守り、微弱ながら清浄な霊力を帯びています。これを触媒とし、日本の古文書や陰陽道の知識を応用した、新しい防御結界と、味方の士気を高める言霊的な補助魔法を構築してみます」
シズクは早速、パソコンと、部屋に持ち込んだ難しそうな古書(いつの間に!?)に向かい始めた。
「俺は……直接戦う力はないけど、二人のサポートならできるはずだ! トレーニングの相手も、情報収集の手伝いも、メシ作りも、バイトも! 全部全力でやる!」
俺も自分の役割を再確認する。
すると、ずっと黙って聞いていたルナ(猫)が、ふぁ〜、と大きなあくびをして言った。
「ふん、仕方ないのぅ……お前たちだけでは心許ない。この妾が、少しだけ協力してやらんでもないぞ」
「え、本当かルナ!?」
「妾の魔力も、あの温泉のおかげで僅かに回復しておるからの。シズク、その怪しげな術の研究とやら、妾の魔力が必要なら貸してやる。リコ、お前の動きはまだまだ甘い! 妾が直々に指導してやる!」
なんだかんだで、ルナ様もやる気になってくれたようだ! ツンデレだけど頼りになるぜ!
こうして、俺たちのアパートでは、それぞれの目標に向けたパワーアップ大作戦が始動した。
夜の公園では、俺がミット(古クッション)を構え、リコが力加減を調整しながら新しい技の練習に打ち込む。時折、バランスを崩したリコを支えたりして、ドキドキの触れ合いも発生中だ。
部屋の中では、シズクが難しい顔で文献を読み解き、お守りを片手にぶつぶつと呪文(?)を唱えている。時々、俺を実験台にして「相川殿、『勇気凛々』……何か変化は?」と聞いてくるが、大抵効果は不明だ。それでも、彼女の真剣な横顔は、やっぱり綺麗だと思う。
試練は多い。敵は強い。でも、今の俺たちには、確かな目標と、互いを支え合う仲間がいる。
この大作戦が、俺たちの未来を切り開く力になるはずだ!
さあ、反撃開始だ!
(続く)
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お読みいただきありがとうございました。
この作品をオーディオブック化してみました。
良ければ聴いてください。
https://youtu.be/VCuoImMK8WM
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