第12話 機械都市サトミ国3
「女王に戻るためにはどうすれば良いだろうか……」
ラキは、頭を抱えた。どうすれば良いのか分からない。
「城のセキュリティは、最高峰。そのセキュリティを突破できる何かを発明したいのだけど難しいのよ。なんせ、あのセキュリティを開発したのじい様でかなりのメカニックだったシ、ランショウと協力して作ったものだし……」
『私が作った最高峰のセキュリティですからね。突破は不可能でしょうね』
ランショウセキは、鼻高々に行った。ランショウセキの後ろでは作ってもらったロケットパンチを装備しルリが燥いでいる。
ふと、ラキが呟いた。
「でも、機械って水に弱いですよね。工場内って水厳禁じゃないですか」
「確かに。精密機器に水をかけるお馬鹿さんは居ないわよね」
『じゃあ、ラキが、幸運の魔術でセキュリティゾーンに雨でも降らせます?』
その発言に、プラネとランショウセキがそれだ!と声をあげラキを見つめた。
「ちょっと待ってください!! それしたら、俺城内の人を不幸にしますよね?」
プラネは、少し考え
『……どうだろうか……』
と呟いた。
ランショウは、パソコンに向かいとあるサイトを見せた。
「これは?」
『私が運営している裏サイトです』
0125
息子が、工場で働いたっきり帰ってきません。工場に問い合わせたら病気のため療養中と言われだったら家で見ると言ったのですが断られました。
0222
恋人が行方不明です。
0345
魔法都市の暴動以来、なんか変な部品作らさせるし怪しいよな
などの書き込みが沢山並んでいる。
「これって……」
『行方不明者多数。最近は、賃金上がりもしていません。上層部は潤っているでしょうが民の不安は増しています』
「つまり、ラッキーが幸運を使っても不幸になるのは上層部ぐらいってことね」
「なるほど……確かに、これは酷いですね……」
ーしかし、不幸になる不運に感じる人も居るって事だよな。どんな影響が俺に起きるんだろうか
ラキが、悩んでいるとランショウセキが口を開いた。
『……ルリから幸運の魔術について深く説明を受けてないですよね?』
「えっ。はい。不幸になる人が居たら呪詛返しをくらうとしか」
『……そうですが、不幸に感じる者より幸運を感じる者が多ければそれは幸運でカバー出来ます』
「え?」
ー初耳なんだけどルリさん……。
ラキが、ルリに視線をやると
『?そうなの?』
と言う顔をしている。
『……ルリは、知りません。ルリは、他の兄妹たちとは違うのですよ。私たちは、眠りにつくと記憶以外は初期化され前の術者の能力を引き継ぐことは出来ません。しかし、ルリは前の術者の幸運能力のみを受け継いでいく。私は、そんなルリに興味を持ちルリの術者たちについてずっと調べていたのです。そう!可愛い妹のために!』
「ルリって女の子なの?」
『うーーん。自分でもよく分かっていないんですよね。そもそも、精霊に性別はないです。人形の見た目で判断って感じなんです。他の兄姉は、見た目から性別認識が出来ますが僕は、中性的な声に中性的な容姿だからどっちか分からないです。だから、他の兄姉は勝手に妹とか弟とか言います』
「そうなのか……」
ー確かに、ランショウセキは容姿や身体の形から男って感じだけどルリは確かに分かりにくいな
『最初の戦争の時にルリが眠りにつく前に、ルリの術者は最後の幸運の術を使いました。不幸に感じる者より幸運を感じる者が多ければそれは幸運でカバー出来るという術です。この術は、ルリに施された術で受け継がれているはずなのですが……』
ラキは、魔力探知を使い自分のスキルを見てみた。そのスキルは表示されていない。
『幸運の魔術のレベルが2。レベルが低すぎるからかと思います。ハンズのスキルを見れますか?』
ラキは、プラネのスキルを確認した。
「モノづくり89!?」
モノづくりのスキルは枝分かれして機械、電子などに分岐しているが裁縫の数値は20程度だ。
「裁縫のスキルが低いでしょ? 昔から苦手でそれ習得すればカンスト出来るんだ毛けどね……」
『ハンズは、幼い頃から色々なモノを発明していますのでレベルが高いのです。つまり、貴方は幸運の魔術を使用してレベル上げをしないといけません』
「レベル上げ……。他の魔術の修行はしてたけど幸運は、いつの間にか使ってしまったりして怖いんだよな……」
『大きいことをしようとはせずに、小さな事をコツコツとするのが良いのかもしれません。例えば、部品工場で回ってくる部品の不良品が少なくなるとか些細な事からすしてみるのです。相手が不幸になるかもしれないとか考えていたら一生使いこなせませんよ?』
「……分かりました。やるしかないよな!」
『では、幸運を封じてるその術を外しましょうか?』
「え?」
『この国では、魔術探知が出来るのは私ぐらいですし魔術者も居ませんから大丈夫です』
ラキは、悩んだ。魔術を制御できるのだろうか。
「ランショウ。それは、いきなりすぎるよ。これ、お姉さんからのプレゼント」
プラネは、ラキに瑠璃色の指輪を渡した。
「これは?」
『試作品なんだけど、魔術を強制シャットダウン出来る指輪。魔術学園とかって機密書類とかの部屋に強制魔術停止の術が施されているって聞いてね。それをアクセサリーにして身に着けることが出来るかそのアイテムを術者に投げれば魔術を制御させれるかなって。これに加えて精霊を人形を引き離せるアイテムも今開発中なんだけど……どうにか私の代で強制シャットダウン指輪は完成出来たけど精霊を引き離すつまり契約解除の開発が全然出来なくてこれは、次の世代に持ち越しかなって思ってる。指輪は、通常は瑠璃色で魔術制御中。魔術を使いたかったらこの指輪を外すか指輪に
ランショウセキの願いは、戦いたくない精霊が強制召喚させられ最終的に地縛霊になってしまうのを防ぐ事。ランショウセキにとってすべての精霊が自分の家族と考えているため傷付く家族を見たくないのだ。だから、戦いも誰にも姿を見せず地下深くから援護する程度だった。ランショウセキの願いのためサトミ家はずっとこの研究をしている。
『それって、ラキとプラネが結婚すれば解決しません? ラキの幸運の術とプラネのモノづくりの能力を受け継いだ子どもなら最強です! 僕も永遠の眠りにつかなくてよくなりますし!』
「なっ何を言ってるんですか! ルリさん!」
『それは、名案かもしれない。私も可愛い妹の傍にずっと居られるし』
「確かに。効率的ね。お姉さんと結婚しちゃう?」
「ばっ馬鹿な事言わないでください!!」
「じゃあ、これは結婚指輪ってことで」
プラネは、ラキの左手薬指に指輪をはめた。
『同じデザインで、私がハンズの指輪を作りましょう』
「ちょっちょ!!」
「あら。良いじゃない」
「収集付かなくなってきてませんか!」
「そんなことはないよ? むしろ、動きやすくなったと思う。さて、まずはラッキーのレベル上げ。目標は、幸運カバーのスキルを習得すること。それを習得したら王位奪還!」
『私は、シマキリ国へ入国するための機械の設計に入ります』
そう言うと、ランショウセキは自室へ入っていった。
「ああなったら、完成するまで出て来ないから私たちは修行頑張ろうかね。さて、そろそろ繁華街も閉まる時間だ。戻るよ」
ラキたちは、元の居酒屋に戻り繁華街が出て居住区へと帰ったのだった。
幸運な人形師 みくろぎ @mikurogi
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