リスの子 🎡

上月くるを

リスの子 🎡



校庭に散る運動着牡丹の芽

黒門の庭の白樺芽吹きたり


はんこ屋の旗の乱舞や春疾風

野大根あわ立ち易き胸をもち


藤咲いて創業記念の置時計

猫のごと渡る世間や花蘇枋


小流れをさ奔る水や犬ふぐり

山吹や栗鼠の仔も乗る観覧車


国策の二度の開拓あざみ咲く

風あらく春竜胆をおどろかす


となり合ふ白木蓮と紫木蓮

連翹や絵島屋敷の嵌め殺し


春雲や背丈の楽器地下道へ

春昼や通過電車の窓のかほ


芽柳やベートーヴェンに少年期

摘む指を待ちわびてゐる蓬かな


柳絮とぶ登山電車の終着駅

空港に聴く童謡や春コート


春おぼろ古劇場にライブあり

残業のビル窓いくつ春三日月




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