第10話 連絡方法を考えてみた
自分では使えない魔道具なのに、ビーネさんはそれでも古代遺跡物を集めたいらしいな。
「いや、集めたいというよりも、きちんと管理し保管が必要ならしたいだけなのだ。探索チームは毎度大人数で運び出すのだが、それはもう大変だし時間はかかるしで、情熱があってもなかなか……」
俺の心の声を読んだビーネさんが愚痴り出す。
「むしろ元気な子どもにやらせた方がいいのかと最近考えるが、さすがに局で子どもを雇うわけにはいかず。持ち出せる物で要保管のものだけは時間をかけて運び出している。拡張のバッグも使うが、バッグ自体が重くてな……」
子どもの頃の教育を見直した方がいいんじゃねーかなと、俺は思ったね!
だいたい話がまとまったんだが、問題はある。
「……で。連絡はどうすることになったんだ? 俺の世界だと、手のひらサイズの板でやりとり出来たんだけど」
俺が言ったらビーネさんが感心した。
「ほう。面白そうな魔道具だな。今度案を出してみよう」
俺から詳しく聞き出そうとしたビーネさんを、ラクシャリーさんが止めた。
「それはまたの話で。私たちは〝ノーウォグ〟を使っているわ」
……知らない単語が出てきたぞ。翻訳魔法が効かないってことは、この世界特有のものっぽいな。
ノーウォグは、いわゆる鳥だった。配達専門の鳥だそうだ。
その鳥を使って郵送している場所にちなんで〝ノーウォグ〟という名前になっているのだと。
手紙を書く。
それを籠に入れる。
籠を配達員(鳥)が運びノーウォグに届く。
配達員が指定のアドレスを持つノーウォグまで届ける。
そこのノーウォグから配達員がアドレスに届ける、らしい。
「……そんなんなら、直接送った方が楽じゃねーか?」
って俺が尋ねたらラクシャリーさんがうなずいた。
「親しい間柄で頻繁にやり取りするならそうしている場合もあるわ。ただ、ノーウォグは危険物のチェックなどもしてくれるし、ノーウォグを経由した方が楽でいいのよ」
配達員は籠で差し出し元と送付先を見分けているため、必ず送付先ごとに一つ必要となる。
ノーウォグ経由なら複数の送付先があってもまとめて籠に放り込めば済むが、いくつもあるならその場所ごとに籠を増やす必要がある。
入れ間違えの誤配送も防げる。
……ってことだった。
「そりゃそうだな」
俺は納得した。
「誤配送は怖いから。ここにも専用のノーウォグがあるのよ」
……歩いて届けろ! って思ったが、言っても無駄だろう。
「あ、
ラクシャリーさんが思い出したように注意してきた。
――何しろ籠に付与された魔法で配達先を覚えるほど魔法に敏感かつ賢い鳥、魔法で攻撃したならばその魔法を使った者を覚え、必ずといっていいほど粘着されて報復を受ける。
うっかり殺そうものなら、仲間の鳥たちが集まり復讐されるという。
ゼロエロが思い出したように言う。
『あー……なるほど。あの鳥か。確かにそうじゃな。一度、報復で群がられて骨も残さずついばまれた者を見たことがあるぞ』
「うわ、怖ぇ」
うっかりでも釘バットで殴らないようにしよーっと。
そう思っていたらゼロエロが気楽な感じで言った。
『何、お主なら余裕で勝つじゃろ』
「数の暴力は無理だろ」
『いや、お主は魔法を使えんからな。連中は、魔法の痕跡を追うのじゃ』
キッパリとゼロエロが言う。
そういうことか!
なら、何かやらかしても、魔法の使えるゼロエロを囮にすれば逃げられるな……。
俺は朗らかにゼロエロに言った。
「うっかり鳥の逆鱗に触れたら、お前を生贄として差し出すからヨロシクな!」
『我、お前のそういうドライなところにしびれるぞ。やはり魔王じゃろ? ――絶対に腰から離れんからな!』
ゼロエロが決意しているが、追いかけられたら無理やり引っぺがして鳥の群れに放り込もう。
よし、解決!
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