49日を過ぎて

片山大雅byまちゃかり

49日を過ぎて

 気丈に振る舞っていた母さんは、最期の数時間は痛み止めも効かず、痛い苦しいと言っていたらしい。


 だけど、亡くなった直後の母さんはまるで腫れ物が取れたように、眠っているかのように見えた。死んで、苦しみから解き放たれたのだろうか。


 死は救いとは言うけれど、遺族はそうは割りきれぬものである。


 母さんを亡くしてあっという間に49日が過ぎた。何故49日なのかは、仏教が深く関わっている。仏教では、人が亡くなると49日目に成仏し極楽浄土へ行くと考えられているのだ。


 49日という一区切りも過ぎて、お骨も墓の中へ納められたそんな頃。自分は毎日のように母さんの夢を見ていた。母さんと過ごした20余年の思い出が鮮明に呼び起こされるのだ。


 母さんの声を聞いて、飛び起きて、母さんがもうこの世に居ない事実を噛み締める毎日である。


 まだ、死を受け入れられていない。

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49日を過ぎて 片山大雅byまちゃかり @macyakari

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