僕の友達が元気過ぎる
taku
第1話 中学生活始まります!
四月に入り新しい季節が訪れるも、東北の田舎町はまだ寒い。
桜もまだ蕾である。
「早く行かないと遅刻するよ!」
「友達が来るまで待ってるんだよ!」
学校に行く様に急かす母、しかしながら俺は友達と登校する約束をしていた。
もう少し待って来なければ先に行くか……。
先日、「第一中学」の入学式を終え、本格的な中学生活が始まる。
今日は重要な登校初日、オリエンテーションと新入生歓迎会がある。
新しい学校やクラスに馴染むための最も重要なイベントなので、楽しく過ごしたいところである。
俺は勉強は好きでは無いが、新生活の幕開けと言うことで何か楽しい出来事を中学校の生活で期待している。
すると、間もなくインターホンが鳴る。
どうやら友達が来た様だ。
「あらー、としくん。立派になっちゃって! tちゃん、としくんが来たわよー!」
「それじゃ行ってくるよ」
母が戸を開け軽く挨拶をし、間もなく俺たちは家を後にした。
「とっつあん、おはよう!」
「おう。学校楽しみだなー!」
この人は「としくん」こと「とっつあん」、幼稚園からの幼馴染で元気な男である。
そして、さっきから気になっていることが……。
学ランの袖に「天下無敵」と金の刺繍が入っている。
「これ……、何……?」
我ながらとても自然な、極当たり前の質問だと思う。
「おっ、気が付いたか?」
とっつあんはニヤリと笑みを浮かべて語り出した。
「今日から本格的な登校日だからよー。気合入れて行かねーとな!」
そう言うと、背負っていたスクールバックを下ろすと、学ランの背中には「初代暴走天使総長」と書かれた黄金の刺繍が……。
「これは怒られるんじゃね?」
「小さいことは気にすんなよな!」
そう言えば、とっつあんは暴走族になりたいって言ってたもんな。
まあ、怒られたら怒られたで仕方が無いか。
そして、先日の入学式のときは居なかったのだが、学校に近付くに連れて、ガラの悪い人々が増えている気がする。
正門を通り、ロッカーのある玄関へと向かう途中、ふととっつあんが足を止め一言呟いた。
「いいねぇー。期待通りの学校だぜ!!」
つられてその視線の先に目を向けると、学校の玄関付近の石碑に、スプレーで「一中最強!!」と描かれていた。
なんて所に来てしまったんだ……。
先日の父兄参加の落ち着いた入学式とは裏腹に幸先が不安な登校初日である。
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