第3話 帝国軍参謀本部(2)
あれから一週間栗林中将や山下中将以外にも色々と根回しをした。どうやら山本長官の方も順調なようで今朝笑顔で挨拶を交わした。
さて、準備は万全。後は会議に出席する他の将校達の動向を注意せねばな。
「これより、第六回陸海軍合同会議を始めます。今回は、まず森田陸軍大臣から提案があるようなので、まず森田陸軍大臣お願いします。」
「どうも、皆さんこんにちは。陸軍大臣を務めている森田です。私からの提案は、《陸海軍合同参謀本部》の開設です。」
そう言い放った途端、両陣営の将校達が殺気立ち、一瞬にして会議室がざわめきに包まれた。
「よさんかね、君たち。」
その山本長官の一言で会議室がざわめきが収まった。さすがだな山本長官は。
僕は一瞬だけ山本長官に目配せをすると、山本長官は、言ってやりなさいと言わんばかりの顔でこちらに向き直った。
「では、落ち着いたところで、陸海軍合同参謀本部。これよりは帝国軍参謀本部と呼称することにしますが、この帝国軍参謀本部開設を提案させていただいた理由としては、まず一つ目に対中戦がまじかに控えていることにあります。我が国は島国であり、大陸へ行くには海を渡らねばなりません。対中戦争において陸海軍の近蜜な連携は必要不可欠です。中国は補給も悪く陸軍による沿岸都市制圧、海軍による補給線の維持が将兵の命を左右するだけでなく作戦にも影響します。中国戦線を早々に片付けてしまえば、ビルマ地域や南方資源地帯の進出まで現実的なものになってきます。そういった数年後の未来までを見据えての帝国軍参謀本部開設の提案です。」
「なるほど。私は陸軍大臣の意見は最もなものだと思う。実際中国沿岸は我々海軍にとっては庭のようなものだ。補給線維持も簡単だろう。私は、賛成する。」
「山本長官!?そう簡単なことではありませんよ!」
山本長官の横でそう言っているのは、南雲中将だ。史実では第三機動艦隊(南雲機動部隊)司令長官を務めた人物だ。
「しかし、南雲中将。陸軍大臣の言っていることは事実では無いか。海軍には陸戦隊があるが陸軍と比べるとやはり見劣りする。我々、海軍には海軍にしか出来ないことがあるし、陸軍には陸軍にしか出来ないこともあるのだよ。ここは陸軍大臣の案に乗ろうでは無いか。」
そう言ったのは小沢中将。史実では最後の連合艦隊司令長官となった人物だ。
「しかし、、、。」
「南雲中将。今は、軍内部で諍いを起こしている場合ではありません。我々の後ろには、国民がいるのです。我々が内部で諍いが起きていることを国民が知っては国民、ひいては天皇陛下をも巻き込んでしまうかもしれません。」
「山下中将までそう仰るのですか!」
「南雲中将の意見はよく分かります。しかし軍部がこれでは近代国家の名折れだと私は思います。」
そういったのは栗林中将だった。
この言葉がトドメになったのか南雲中将は賛成の印を書類に押した。
会議終了後、栗林中将から小声で「私の役割はどうやらなかったようですね。」と言われた。南雲中将が反対してくれたおかげで逆にシナリオ通りに行ったというわけだ。
これで将校達からの文句も多少減ることだろう。
こうして、揉めに揉めた第六回陸海軍合同会議は森田陸軍大臣、つまり僕の意見が全面的に採用される形で幕を降ろした。
これでようやく一歩前に進める。
この戦争、必ず勝利に終わらせて見せよう。
世界で唯一原爆被害にあった国の国民としてもう二度とあんな事は起こしてはいけない。
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