第13話「会えたけど、知らないって?」

 そして、日も傾き始めた頃だった。

「ふう、着いた」

 遠くにたくさんの建物が見える。

 

「うわあ、大きな町だねー」

「あんな大きなとこもあったんだ」

 ライラとリオル君が町の方を見ながら言った。


「そうだな。さてと、車をどこかに隠さないと」

 車上荒らしなどいないだろが、得体の知れない物と持ってかれてもだしなあ。


「きゅ~」

 ココがなんか言ってるな。

「ん? どうした?」

「あのね、魔法の袋作ったらって言ってる」


「なにそれ?」

「えっと、これくらいの小さい袋でもね、大きなものしまっておけるものだって」

 リオル君が両手で〇を作って言った。


「そりゃ作れたらいいけど、どうやって?」

「そのスマホに聞いたらいいでしょってさ」


「……そうだね。ほんと俺頭固いわ」

 少し落ち込みながら聞いてみたら、錬金魔法で小さい袋の中に大きな部屋を作るイメージすればいいって。


「上手くいくかな……はあっ!」

 袋が光ったかと思うと、すぐ収まった。


「これでいいのかな? どれ」

 車に向けて広げると……。


 ゴオッ!


「わあっ!?」

 車があっという間に吸い込まれた。


「うわあ、便利なもんがあるんだねー」

「きゅー」

「あ、出すときは車思い浮かべて広げたらいいって」


「それならいいか。しかしココ、神竜族はこういうの持ってたの?」


「一個だけあって、長様が持ってたって」

「そうだったんだ。ってそろそろ日も暮れそうだし町に入ろうか」



 入り口の方に行くと警備兵らしき男性が二人立っていた。

 しかしこの人達も弥生時代風の服装だが、髪は茶色っぽいな。


「お、おお。あんたらどっから来た?」

 二人のうち年上だろう警備兵さんが驚きの表情で尋ねてきた。

「東のテンオウ村からです」

 リオル君の村の名前がそうだったので。


「なんと? 東の方は都を除いてほぼ全滅だと聞いていたが、生き残りがいたんだな。おい、この人達を宿に案内してあげな」

「はい。では皆さん、着いてきてください」

 若い方の警備兵さんに案内され、町の中に入った。



「ほんとたくさんの人がいますね」

「ええ、このハカタ町には竜の島西部にいた生き残りの方がたくさん集まってますので」

 警備兵さんがそう言うが、

「竜の島?」

「ああ、この島の名前ですよ。まあ知らない人もいますからね……あ、すみません道の端へ寄ってください」


 向こう側から兵士が隊列を組んで歩いてきていた。

 その向こうに神輿のようなものも見える。


「あの、あれってなんですか?」

 警備兵さんに聞いてみると、

「ああ、巫女姫様の行列なんですよ」

「巫女姫って?」

「町長様が連れて来た方です。まだ十三歳だというのに超一流の魔法の使い手で……ただねえ」

「ん?」


「あ、あの人がそうなの?」

 リオル君の目線の先には神輿があり、そこに髪は橙色のショートカットで小柄でなんというか日本神話の女神様っぽい服着た女の子が座っていた。

 それを町の人たちが手を合わせて崇めている。 


「そうだよ。あの方が……あ、ちょっと!」

「え?」

 なぜかライラが飛び出し、あの女の子の近くへ駆けて行った。


「ねえ、カンナだよねー!? あーし、ライラだよー!」

 え、あの子がカンナちゃん?


 彼女は神輿の上からライラを見つめ……いや、睨んでる?


「ねえ、どうしたのよ? あーしの顔忘れたの?」

「……わたし、あなたなんか知らない」

 彼女が冷たい口調で言った。

「え?」

「兵士さん、この人追い払って」


「はっ!」

 兵士数人がライラを取り押さえようとした。


「すみません、それうちの子です! 引っ込めますから乱暴しないでください!」

 俺も慌てて駆け寄って言うと、

「……悪いようにしませんから、ここはおとなしくしてください」

 兵士の一人が小声で言った。

「え? は、はい。ライラも」

「……うん」


 そして神輿が去って行った。


「すみません。あなたはアシナ村の孤児院にいたライラさんですか?」

 兵士がおそるおそるライラに尋ねてきた。

「え、そうだけど?」

「やはりですか……すみません、とりあえず宿に入っていてもらえませんか? お話はその後で」


「あ、えと。こっちです」

 俺達は我に返った警備兵さんに案内されて宿に着き、そこの一室で待っていてくれと言われた。

 なんか偉い人に話を通すとも言ってたな。


「うう、なんでよ……?」

 ライラが涙目になって言うと、

「きゅー」

 ココがライラにすり寄った。

「うう、ありがとね慰めてくれて」

「きゅー」


「あのお姉ちゃん、ほんとにライラお姉ちゃんの事知らないのかな?」

 リオル君がそう言った。

「どうだろな。とにかく待ってようか」

「うん」

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